暁 〜小説投稿サイト〜
エリクサー
15部分:第十五章
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

「そうだな。少なくとも今は判断材料も少ない」
 それもまた大きな要因であった。情報、即ち判断材料が少なくては深く考えても正しい結論には辿りにくい。役はここでそれを踏まえて考えるのであった。
「考えても。仕方がないか」
「それにですね」
 本郷はふとした感じで述べるのであった。
「ハインリヒ先生もエルザさんも少なくとも悪い人ではないですよ」
「そうだな。それはな」
 それはハインリヒも感じていた。
「気配はない。しかし悪い気配もない」
「それは大きいですかね。けれどそれでも」
「判断材料がまだ少ない。集める方法はあるにはあるが」
「式神ですか?」
「そうだ。使うか」
 役は懐から数枚の札を出してきた。それで情報収集をしようというのだ。
「これを」
「いえ、それには及ばないでしょう」
 だが本郷はそれには賛同を見せはしなかった。
「情報が必要なら向こうから歩いてきますよ」
「待っていればいいということか」
「そう思いますよ。俺はね」
 また役に対して言ってみせてきた。
「どのみち戦うわけでもありませんし」
「では。いいというのか」
「だから。ですからね」
 本郷の言葉は先程と同じであった。
「ここは美味いものでも食べましょう」
「そうするか。この辺りなら」
「やっぱりソーセージでしょうか」
「それは昨日食べただろう?」
 役は顔を少し顰めさせて本郷に対して言った。
「別のものにしないか、ここは」
「別のものですか」
 本郷は役にそう言われて考える顔になるのであった。
「他に何かありましたっけ」
「ある」
 一言で言い返した。
「では聞くが和食は刺身と味噌汁だけか」
「まさか」
 本郷は笑って役の今の言葉を否定した。
「そんな寂しい内容だったら誰も日本にはいませんよ」
「そういうことだ。ドイツにあるものソーセージやジャガイモだけではない」
 役はまた言う。
「わかったら。何か別のものにするぞ」
「はい。じゃあ何がいいですかね」
 彼はあらためて考えだした。
「食べるのは」
「とりあえずハインリヒさんが勧めてくれた見せに行こう」
 まずはそれからだった。そうでなければ話は動かなかった。
「それでいいな」
「わかりました。それじゃあ」
 本郷はそれに応えてから少し考えてそれからまた述べた。
「まずは店に行ってからですね」
「言っておくがソーセージはなしだからな」
 そこは念押しするのであった。
「それはいいな」
「わかっていますよ。しかしですね」
 本郷の言葉は少し言い訳めいたものになっていた。
「ソーセージとかしかなかったらどうします?本当に」
「安心しろ。流石にそれはない」
 役はその可能性は否定した。
「何度も言うが刺身や天麩羅だけが和食
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ