第六章
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「さっきも話に出たけれど」
「そうかな、けれど十メートルの鰻なんて」
オオウナギでも二メートルだ、流石に十メートルを超えるものは有り得ない。
「いないよ」
「そうね、ボートは」
周りを見回す、だがそれはなかった。
それでだ、首を傾げさせてこうヘンリーに言った。
「ないわね」
「近くに寄れないね」
「泳ぐ?まさかね」
二人共水着ではない、持っても来ていない。これで水の中に入るというのは幾ら何でも常識外れである。
「無理ね」
「うん、ここは」
ヘンリーは携帯を出した、それで撮影をするのだった。
「こうしよう」
「それね」
「うん、これでね」
「そうね、じゃあね」
キャサリンもヘンリーに続いてだ、自分の携帯を出して動画を記録させた。これがかなりの証拠となることは確実だった。
そして水面からだ、何と。
影の一部が出て来た、それは。
頭だった、黒くのっぺりとした。それは。
「鰻だね」
「ええ」
キャサリンも見た、それはまさに鰻の頭だった。913
「紛れもなくね」
「そういえば今思い出したけれど」
ヘンリーはここで本当に思い出した、その思い出したこととは。
「昔二メートルのうなぎの稚魚が見つかったよ」
「二メートル、ね」
「鰻は稚魚から成長したら三十倍の大きさになるよね」
形も変わる、よく知られている二人も今観ている鰻の姿は成長したものだ。ついでに言えば日本人の多くが美味そうだと思う姿である。
「突然変異だろうけれど若し成長したら」
「六十メートルになるわね」
単純計算ではそうなる、無論そのまま大きくならない場合もあるにしても。
「じゃああの鰻も」
「有り得るよ」
突然変異にしてもだというのだ。
「それもね」
「じゃあネッシーの正体は」
「そうかもね」
鰻、巨大なそれではないかというのだ。
「今実際の僕達の目の前にいるしね」
「そうなるわね、けれどどうしてここにいるのかしら」
キャサリンはあえてこの問題について言及した、ネッシー否定説の根拠としてネス湖は巨大生物が棲むには狭く尚且つ餌となる魚が少ないからだ。
特に群れを為すことは考えられない、しかも群れならば目撃例も多くなるのだ。
それでだ、ここであえて言ったのである。
「どうしてかしら」
「海からここまで河を上がり下りして出入りしているんだろうね」
ネッシー実在説の根拠の一つである、常にネス湖にいるのではなく出入りしているというのだ。
「それだろうね」
「鰻は海から川に出入りするからね」
「そう、ただネス湖に鰻は本来はいないけれど」
水が悪く鰻がいるのにそぐわない湖だというのだ。
「迷い込んだのかな」
「時々そうなるのかしら」
「それでみたいだね」
ネッシーとして
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