ある約束の戦い (後)
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いた。そんな所へ女王から第二弾が撃ち出される。
天剣であってもこんな馬鹿みたいに巨大な衝剄を受け止めようなどと考えるのは戦闘狂のサヴァリスか『盾』であるリヴァースくらいであろう。だが対するリンテンスはそれを避けようともせず待ち構える。
外力系衝剄の変化、繰弦曲・真綿包み。
半球状に形作られた鋼糸の網が衝剄を包み込む。周囲の地面に張られた鋼糸が衝撃を散らすとともに包囲した鋼糸から放たれる衝剄と極狭い間に幾重にも層を造った鋼糸とが柔らかいクッションのように威力を削り取り、終には消滅させる。
天剣であれ驚愕の結果を生み出したリンテンスだが次のアルシェイラの動きにまでは対応できなかった。
一時的にリンテンスがそちらに集中した隙を突き接近したアルシェイラにむけて鋼糸を向かわせるが最前ほどのキレはなく、強引に掴まれ網に穴をあけられそこから侵入してきた手刀をさしものリンテンスも躱し損ねる。
宙に舞うのは吹き出す血、地に落ちるのは二の腕から断たれたリンテンスの左腕。剄の供給を断たれた半分程の鋼糸から力が抜け、そのうちの何割かが地に墜ちる。全てが墜ちないのは空間に放たれる剄の波紋をも利用する武器のため今までと同じ様にはできなくともすぐに全てが使えなくなるわけではない。
「どうリン、私の勝ちかしら」
「馬鹿か、この程度で終わるわけがないだろう」
汚染物質が充満していた頃ならば勝負は決まっていた。怪我をするという事はそれだけで死ぬという事、それ以上の戦闘継続は不可能だったからだ。だが今はその影響はない。
片腕を落された。その痛みを無視することができないのは勿論のこと、両手で使う武器であれば当然、片手武器であったとしても己の重心が不安定になり同じ動きをすることはできない。リンテンスにしても使える鋼糸が半分ともなればアルシェイラの攻撃を捌くことは出来ないだろう。
故にアルシェイラだけでなくこの戦いを見ている天剣たちも勝負がついたと思った。ただ一人、リンテンスを除いて。
そのリンテンスが動く。右手側から伸びる鋼糸の一本と活剄で止血すると足を動かす。そこは落ちた腕の近くだった。
力を失い地に臥せていた左手の鋼糸に剄が戻る。
「嘘でしょっ」
外力系衝剄の変化、繰弦曲・魔弾。
全方位からの刺突がアルシェイラを襲う。油断していたアルシェイラが急いで防御を行うが完全ではなく何本かが四肢に突き刺さる。即座に体内に剄が放たれようとするがぎりぎりで防御の剄が間に合い肉体を破壊されることは避けられた。
傷自体は女王の強力な活剄ですぐに塞がるとはいえそのロスを見逃すリンテンスではない、鋼糸の群れが次々と襲いかかる。
対する女王も衝剄を放って応戦する。
次々と迫る鋼糸を跳ね返すが直接衝剄が当たらなかったものはその隙間か
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