閑話 Trick or Treat! Happy Halloween!
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を発揮している。おそらく、彼が本気を出せば赤く染まり、三倍にまでスペックが跳ね上がる事だろう。下手すれば量子化するかもしれない。
「その仕事は延期したまえ。ランタンを作っている暇があったんだ。別に構わんだろう?有給を使う暇はなかったはずだ。たまには落ち着いて休みたまえ――――尤も、それが最後の休みとなるかもしれんがな」
その日からしばらく、クラウが休むことなく仕事をするようになったのと、カボチャを見るたびに震えるようになったのは完全に余談と言えよう。
◇
「〜〜〜♪」
鼻歌を歌いながら機嫌よく歩いていたのはルナマリアだった。彼女は珍しくシンをデートに誘おうと画策していた。デートスポットもメイリンに頼んで事前に調べており、彼女自身も準備を整え、後はシンを誘うのみ。シンの事だから珍しい書店と食事、そしてハロウィンという日であるという要素で誘えるはずだとルナマリアは確信していた。
本来、ハロウィンは乱暴な言い方をすれば日本のお盆のような魂の鎮魂であり、その他には秋の収穫祭、悪霊払いを意味するものだ。だがプラント、というか現在のC.E.の時代では宗教の力は非常に弱いものとなっており、もう一方の秋の収穫祭と言われてもプラントに季節的な意味はあまり存在しない為、コーディネーターにとってハロウィンは最早日本でいうようなバレンタインデーなどとほぼ同じ、即ち一種のイベントデーでしかなかった。
(最近は忙しかったうえにステラって子にずっとシンが取られてたし、今日こそは絶対誘ってやるんだから!)
女にここまで準備させたんだから断るなんて言わせない、とばかりに闘志を燃やすルナマリア。男冥利に尽きると言うべきか、察しないシンに鈍感、氏ねと言うべきかは判断に迷う所である。しかし、シンの部屋の前まで来た彼女は、部屋の前で彼女の強敵とも言える存在を発見する。
「シン、Trick or Treat!」
「え!?あ、そうか!今日はハロウィンか!えっとHappy Halloween!ちょっと待ってて、お菓子用意するから!」
ステラがハロウィンのコスプレをしており、割ときわどいミニスカート姿にシンは狼狽えながらもお菓子を自室から探そうとする。その様子を見ていた同室のレイはくだらないなと思いながらも栄養補給に優れているという理由で持っていたチョコレートを取り出し、ステラに渡していた。しかし、一方でシンはお菓子など普段からあまり食べず、今日がハロウィンだという事などすっかり忘れていたので用意など当然できておらず、ステラに申し訳ない気持ちで謝る。
「ごめん、ステラ――――今お菓子手元にないんだ」
「えー、あ、じゃあステラ、シンに悪戯する!」
その言葉を聞いた瞬間、場の空気が凍り付く。確かにクラウはお菓子を持っ
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