第14話 降って来たのは雨。現われたのは黒い男ですよ?
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い光と呼ばれる神と、黒い闇と呼ばれる死に神が実際に居たとしても不思議でも有りませんからね」
周囲には差して強い勢いと言う訳ではないが、それでも細かな雨がすべての物を濡らしつつ有る中で、二人だけ。バンダナと革手袋の青年。この二人だけが雨に濡れる事もなく佇む。
そう、まるで雨自体が彼ら二人を避けて降り続けるように。
そして……。
そして、バンダナの青年の語った内容。コミュニティの名前に掛けられた呪い……。可能性としてなら存在する、美月はそう考えた。
更に、彼の言うようにここは様々な修羅神仏が存在して居る世界で有る以上、美月が知らない悪しき神が何処かに存在して居る可能性も高い。
そう美月が考えた瞬間、世界が変わった。
この感覚は、ハクを召喚してから嫌と言うほどに感じる事となった危険な出来事が起きる前触れ。
警戒をしながら周囲の確認を行う美月。
足元にはこのメンバーの中では一番古い友人。白猫……いや、本当は虎族のタマが存在する。
そして、何時の間にか注連縄に囲まれた結界の内側から美月の傍らに寄って来ていた白蛇の化身、白娘子。
自らの背後には口をへの字に結び、何が気に入らないのか、かなり強い瞳で前方に視線を送って居る破壊神の少女シノブ。
その破壊神の少女が視線を送る先に存在しているのはハク。
そして、彼女から更に前方に存在して居る二人の男性と……。
……一人の黒い影。
今の美月にならば……判る。あの黒い影は危険。
大きさは二人の青年と同じぐらいに見える事から普通の人間ぐらいの大きさ。体型も人間と同じ。黒いローブの如きズルリとした衣装。目深に被ったフードからその表情をこちらから窺う事は出来ない。
立ち姿だけでは男性なのか、それとも女性なのかさえも判断出来ない存在。
ただ……。
「それでは我々に命じられたのは彼の実体化まで。後の事は貴女方にお任せ致します」
ただ、その黒い影が放つ気は尋常な物ではなかった。
そう。その黒い影から放たれた何かを感じただけで美月の両足が震え、肺が酸素を求めるように喘ぎ、心臓は不規則に脈打ち、思考は千々に乱れる。
この新たに現われた黒い影に比べると、先に存在していた二人の青年など取るに足りない存在だと思えて来る。
「それでは皆さん。またお会い致しましょう」
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