第14話 降って来たのは雨。現われたのは黒い男ですよ?
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や白娘子。そして当然、美月も動く事は出来なかった。
何故ならば、新たに現われた青年が纏う闇がウカツに動く事を許さなかったから。
そう、それはおそらく威圧感。黄泉比良坂で千引きの大岩の向こう側から感じた威圧感。神の威圧感に等しいそれを、この目立たない雰囲気の青年は備えて居たのだ。
「それでは、三娘さま。何故、貴女の率いているコミュニティが滅びに瀕して居たのかの説明をして置きましょうか」
相変わらず緊張した戦場に相応しくない、非常に長閑な口調及び声で話し始めるバンダナの青年。但し、その台詞の何処か奥深くにすべての存在を嘲笑するかのような雰囲気と、何故か狂気にも似た色を隠しているかのように感じられる。
「それは、アンタの上司とやらが決めた事なんじゃないのさ」
北の森で出会った青年。リューヴェルトから伝えられた内容をそのまま投げ返す美月。
その瞳は怒りに燃え、語気も普段の彼女に比べるとかなり荒い。本心から言えば、今すぐにでもこの弓に矢をつがえて目の前のニヤけたバンダナの青年に対して射かけたい、そう言う衝動を抑え切れずに居たのだ。
それが出来ないのは距離の問題。神速で動く事の出来る相手に、この双方の距離が美月の歩幅で十歩も必要のない距離に居る相手に矢を放っても、当たらないドコロか、あっさりと懐に入り込まれて生命の危険さえ存在して居るから。
そんな、今にも弓に矢を射かけて来そうな雰囲気の美月を、こちらは苦笑混じりのニヤけた表情で見つめながら軽く肩をすくめて見せるバンダナの青年。
小さな雨粒が降り頻る中、青年のその仕草はあまりにも自然で、そして視線を彼に集めるのには十分な力を持って居た。
「確かに、上からの命令で動いて居るのは事実ですから否定はしませんが、それでも、どのような方法でこれ程の悪い状況が訪れたのか、その方法ぐらいは知りたいと御思いでしょう?」
相変わらずの薄ら笑いを継続させながらのその一言。そして、それは確かに、美月ならずとも知りたい内容では有る。
バンダナの青年の言葉に続くのは優しきショパンの音色のみ。すべての人物がバンダナの青年の次の言葉を待つ雰囲気。
少し満足げに首肯く青年。
「白い光。確かに悪い名前では有りません。しかし、もしその対極……黒い闇と言う存在が居たとしたならばどうでしょうか?」
雨の日独特の匂いと、バンダナの青年の独白。その姿はまるで一人芝居を続ける舞台俳優の如き。
そう。彼自身が何かの役を演じて居ると言う雰囲気が強い。
「そしてもし、その白い光と黒い闇と呼ばれる神が、永遠に争い続ける運命を神話の中で与えられて居るとしたのならば、一体、どうなるのでしょうか。
それに、この世界は様々な種族や修羅神仏が実在している世界。それなら、白
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