第14話 降って来たのは雨。現われたのは黒い男ですよ?
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天を埋め尽くしていた赤き天井に対して、地上から放たれた金色の矢が貫いた瞬間。
一瞬、垣間見える蒼穹。
しかし、その一瞬後に、鮮烈を極める強烈な光が、陰火に支配された世界を徐々に凌駕して行く……。
そう。それは灼熱を支配していた邪鳥ヒッポウよりも強い輝きを示し、瘴気と火気と狂気。そして絶望に支配されて居た世界を貫いた金色の矢。
伝説に語り継がれる炎の烏を一瞬に葬り去った英雄の矢が、再び世界を火気から救い出したのだ。
そうして……。
ポツリ。
矢を放った姿勢のまま固まっていた美月の白衣に、ひとつ小さな染みが発生した。
「……?」
白猫のタマが天を見上げて声に成らない声を上げる。
白娘子が、そして、破壊神の少女シノブが手の平を天に向けて開いている。その手の平に、そして彼女ら自身をポツリ、ポツリと濡らして行く小さな粒。
黒く焼け焦げ、未だ大きな熱を持った状態の大地からは、落ちた途端に再び短い音と共に白い蒸気へとその姿を変えて行く蒼穹から降り来るそれ。
間違いない。これは……。
「……雨」
固まった姿勢からようやく動き出した美月が掲げたその手の平の上にも、ポツリ、ポツリと天からの雫が落ちて来る。そして、それは差して待つまでもなく雨脚は強く成り……。
やがて……。
それまで赤き邪鳥ヒッポウにより隠されていた大空に、何時の間にか厚く垂れ込めて来て居た雨雲から猛烈な勢いで――――
「雨が降り始めた!」
両手を大きく広げ天から降り注ぐ雨を全身で受け止める美月。これで、このギフトゲームも勝利。後はコミュニティの美月の家に帰って、今日は御供え物として集めた物の残りが有るから豪勢な夕食となるはず。
危険なゲームが終了し完全に弛緩した雰囲気。これで、美月が率いる白き光に覆い被さって来ていた危機はすべて祓われた。
後は――――
――ゆっくりと自分も含めて皆の実力を付け、色々なゲームで経験を積んで行けば、コミュニティはかつての、いや、かつて以上に豊かなコミュニティと成る。……と美月が勝手な想像を始めた瞬間。
雨音に混じってパチパチと言う妙に乾いた軽薄な音が混じる。これは明らかな異音。間違いなく人為的に発生させられる音。
そして、
「流石は三娘さまですね。自らが神籍に帰る道を閉ざしてでも、民を護る方を選びますか」
僕には真似が出来ませんよ。……と最後に付け足す聞き覚えのある若い男性の声。
「その昔、太陽の子供と言われた九羽の火烏を撃ち落とす事に因り、日照りの害から民を護った。
しかし、その為に神籍を追われ、死すべき運命を天帝より賜ったと言われていましたか、貴女はね」
声の発せられた方向に振り返った美
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