魔石の国―Law and affection―
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ら小瓶を受け取った。
「わぁー、どうしたの?こんな豪華な料理!今日は何か特別な日だったっけ?」
目を輝かせ、少年はテーブルの上に並んでいる料理の数々を見て言った。
鳥の、骨付きのから揚げ、かぼちゃの温かいスープ、野菜サラダに、にんじんとじゃがいものマッシュポテト。さらに、出来立ての三日月形のパンが籠いっぱいに入っていて、テーブルの中央に置かれている。
女性は曖昧に微笑み、男性も無言のまま少年へ目を向けるのみだった。
「?」
少年は首を傾げたものの、目の前に広がる様々な料理に心を奪われたようだ。おいしそうに頬張り始めた。
キノはスープを口に含んだ。かぼちゃのスープは甘く喉を潤した。
他愛もない会話をしながら食事は進んでいく。
夕食が終盤に差し掛かった時、女性は席を立ち台所に行った。
キノは使い終わったフォークとスプーンを皿に重ねておいた。
女性が湯気の立ち上る陶器のコップを運んで戻ってきた。
中身は白い液体だった。
キノはコップに口をつける。やや甘過ぎるホットミルクのようだった。
「豪華な料理の後にミルクまで飲めるなんて」
息を吹きかけて冷まし、少年は少しずつコップの中身を飲んでいた。
「おいしい?」
女性が聞くと少年は頷いた。
「よかった……」
女性は微笑みを浮かべた。
「今日は母さんが腕を振るって作ってくれたんだ。明日からもがんばってくれるようにね」
男性は一口、一口、幸せそうな表情で味わっている少年にそう言った。
「はぁー、あの子がいつ毒を飲まされるのか気が気でなかったよ」
夕食後、部屋に戻ったキノはそう呟いた。
「それでどうなったのさ、あの子」
キノはベッドに腰を下ろし、エルメスに話す。
「まだ生きているよ。ボクは食事の中に――スープかホットミルクに毒を混ぜて死なせるんだと思ってたんだけど。何も起こらなかったよ」
「今日中にだったよね。どうするつもりなんだろ?」
「さあ。どのみち明日には片が付いているはずだ」
次の日。つまりキノが入国してから三日目の朝。
キノは夜明けと共に起き、いつものように軽く運動をし、パースエイダーの整備をした。
キノはドアの方へ目を向けた。ノックする音は聞こえてこない。
キノは格闘の訓練も行うことにした。
訓練を一通り終えた頃。
「おはよう、キノ」
エルメスが目を覚ました。
「おはよう、エルメス。一人で起きるなんて珍しい。いつもこうだったらいいのに」
「……」
エルメスは黙ってしまった。
キノがなおも言い募ろうとすると、コンコンとドアをノックする音が聞こえてきた。
「どうぞ」
ドアの方へ視線を向
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