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魔石の国―Law and affection―
魔石の国―Law and affection―
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すよね?」
 長老は頷く。キノは同意した。
「第二にこの国は長年他国の者を受け入れたことがなかった。よって旅人を泊める施設のようなものはない。そこでおぬしらにはこちらの夫婦の家で寝泊まりしてもらうことにした」
 長老が人々へと目線を送ると、一組の男女が進みでてきた。どちらも三十代で、穏やかで優しそうな人達だった。
「それでもよいじゃろうか?」
 二人はキノに向かって軽くお辞儀をした。
「よろしくお願いします」
 キノも頭を下げる。
「うむ。第三に外の世界についての話を聞かせてもらいたい。わしらは他国のことを何も知らないのでな」
「ボクの話でよろしければ」
 キノは言った。
「ならば明日の昼頃に宮殿に来てくれまいか。食事とともに話を聞きたい。宮殿の場所はこの夫婦が教えてくれるじゃろう」
 長老はそう言い残し、キノに別れの挨拶をし側近とともに去っていった。
「それではキノさん私達の家にご案内しますね」
 キノは夫婦の後に続き歩き始めた。









「すみませんキノさん。こちらのお部屋でよろしいでしょうか?」
 案内された部屋はダブルベッドに衣装だんすと少しの調度品が置いてあり、一人で使うには広過ぎるくらいだった。
「はい、むしろ充分過ぎるくらいです」
 キノの言葉に夫婦は安堵した表情を浮かべた。
「それはよかった。数年前まで父母の寝室だったものですから、キノさんが気に入るかどうか不安だったんです」
 男性は胸をなで下ろすように言った。
「旅人さんに使って頂けるなんて、亡くなった義父や義母も喜ぶと思います」
 女性は柔らかく微笑む。
「ではキノさん、どうかゆっくりなさってください。エルメスさんも」
「夕食ができましたらまた呼びに来ますので」
 男性と女性がそれぞれ言葉をかけ、扉を開け部屋から出ていった。最後に控えめにドアを閉める音がした。
 キノはエルメスをセンタースタンドで立てて
「もう夕暮れ時か。観光はまた明日だな」
 窓から差し込む夕日を眺めながら呟いた。









 夕食ができたとの知らせを受けたキノが女性とともにテーブルへつくと、そこにはすでに男性と、灰色の髪の十歳前後の少年がいた。少年は黒いずきんを着ていて、フードをはずしていた。
「キノさん、この子は私達の一人息子です」
 女性が少年を紹介する。
「噂の旅人さんだね。よろしく、キノさん」
「こちらこそよろしく」
 キノと少年の自己紹介が終わると、食事が始まった。
 夕食のメニューはパン一個にじゃがいもをふかして味付けされたものと少しの野菜だけという、大変質素なものだった。
「あのう、この明かりは何が光源になっているんですか?」
 上から吊り下がっているランプのような物を指差して
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