魔石の国―Law and affection―
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」
「もしまだ滞在されるのでしたら新しく寝泊まりする家を手配しなければならないですから」
「お気遣いありがとうございます。最後に一つだけ訊いても良いですか?」
「なんでしょうか?」
「もしあなたが夫婦の立場だったらどうしますか?」
「殺しますよ。それが子供にとってもこの国にとっても一番良いことだと思いますから」
キノはエルメスを押して、城門に向かう。人々は二人に好奇の視線を送るだけで、今日起こった出来事について話し合うのに忙しそうだった。
「旅人さん!」
キノは声の方へ顔を向けた。
一人の商人が城門からキノ達に手を振っていた。それはこの国に来る時に、船の上で話していた商人だった。
商品を乗せている荷車を引きながら、商人はキノ達のところへきた。
「なんかあったのか?妙に騒がしい気がするんだが」
「この国で先代不問なことがあったんだよ」
「は?」
「……。前代未聞?」
「そうそれ」
エルメスが頷く。
「へえー。で、一体何があったんだ?教えてくれないか、旅人さん」
商人は興味を持ったようだ。
「いいですけど、お仕事は?」
「長くなる話なのか?」
「そうでもないですけど」
「ならいいだろう」
商人は道の端で荷車を止める。
「じゃあ、まず一つ訊いてもいいですか?」
キノは言う。
「話に関係あることなのか?」
「あなたに子供がいたとして、その子が重い罪を犯し、あなたの手で殺さなければならなくなったらどうしますか?」
キノの質問に男は答えた。
「そりゃあ旅人さん、俺にはわからないよ。実際に子供がいてそういう状況に陥った奴じゃないと。まあ俺がそんな局面になることはないわな。まだ結婚もできてないしな」
商人はにかっと笑う。
「それもそうですね」
キノは小声で言い、宮殿の方を振り返る。
「ん、何か言ったか?」
「いいえ、何も」
キノは商人へと向き直った。そして商人にこの国で起こった出来事を語り始めた。
END.
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