魔石の国―Law and affection―
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三日間、入国させていただけませんか」
キノは簡潔に目的を告げる。
「失礼ですがそちらのモノはなんでしょうか?」
エルメスを指差し門番は不思議そうに尋ねてきた。
「これはモトラドと言って早く移動するための乗り物です。例えるなら馬のようなものです」
キノは門番二人にわかりやすく説明した。時々エルメスが補足をいれる。
「なるほど、わかりました。キノさん、申し訳ありませんが入国に関しては長老の意見を仰がなくてはなりませんので、しばらくお待ち下さい」
「わかりました」
キノは城門の端の方に、エルメスをセンタースタンドで立たせた。
キノはエルメスにもたれかかりながら立っていたが、太陽が天頂付近にくると、エルメスにくくりつけておいた鞄から敷物を取り出して、敷き、座った。そして
「またこれを食べなければならないのか」
とため息をつきながらも携帯食料を食べるキノ。
「仕方ないよ。でもさーキノ、もし入国できなかったらどうする?」
「その時はその時さ」
太陽が地平線に触れようとしているぐらい西に傾いてきた頃、キノは入国許可が出たことを告げられた。
「やっとか」
エルメスを押して城門へと向かいつつキノは呟いた。
「こんなに待たされるとは思わなかった」
「でもよかったじゃん、入国できてさ」
エルメスが言う。
門番は巨大な城門を開けるとキノに軽く詫びるように一礼した。キノも会釈する。
門から国の中に入るとすぐにたくさんの家屋が目の前に広がった。どの建物も簡素な造りで、屋根は空に向かって尖んがっている。
キノは足を止めた。黒いローブを着た、地につくほど長い白髪と白い髭の厳めしい顔をした老人と、その左右に黒い尖んがり帽子に同色のマントを羽織った男が二人近づいてきたからだ。
老人が口を開く。
「おぬしが旅人とやらじゃな?」
威厳に満ちた声に臆しもせずにキノは答える。
「はい、キノと言います。そしてこちらはエルメスです」
「キノとエルメスじゃな。わしがこの国の長老じゃ」
長老達とキノとエルメスの周囲に、住人達は何事かと遠巻きに集まってきた。
住人は皆一様に黒を身につけていて、男性はマントかローブを、女性はショールを羽織っているかローブを着ていた。尖んがった帽子やバンダナをしていたり、ローブのフードを被っている人もいた。
そして大人達の間から顔を覗かせている子供がちらほら見えた。男の子は黒いずきんを着ていて、フードは外している。女の子はショールでバンダナをしていた。
「おぬし達の入国に関して条件が三つある」
「なんでしょうか?」
キノは長老に訊く。
「第一にモトラドとやらの乗り物を国内では使用しないで欲しい」
「ボクがこいつを自分で押して歩くのはかまわないで
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