第六話
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の声と少女の声がかすかに聞こえた。声の主は気配からこっちに向かってきているらしい。
「いいタイミング」
映姫は少し微笑んだ後、コホンと咳払いをして向日葵を掻き分けながら中に入っていった。
「どうかしましたか?」
「えっ……!?」
向日葵を掻き分けて出ようとした男は、向日葵達の間にいる閻魔を見た瞬間止まってしまった。
「その子を放してもらいますよ!」
「ごふっ!?」
映姫は男に数発の弾をぶち込み、遠くへと吹き飛ばした。
「大丈夫ですか?」
「え……ふぇっ……?」
やさしく声をかけた映姫だったが、少女は少し気が動転しているのだろうかしゃべろうとはしない。
だが、少し安心したのだろうか、映姫の目をきちんと見ていた。
「なっ……なんだ!?」
今の攻撃で戦闘をしていた兵士達も、背後で起こった出来事に気づき始めた。
映姫は少女を自身の背後に回すと、悔悟の棒を持って兵士たちをにらんだ。
「さて……少し説教といきましょうか」
その言葉のせいで悪寒が走ったのか、兵士達は身震いをしていた。
地上で映姫達が交戦を始めたころ、地霊殿の地下でも戦闘が始まろうとしていた。
「……」
制御棒をつけた妖怪は、何もしゃべることなくこちらを見ている。
「……お空?」
こいしは妖怪を見ながらそう呟いた。
今俊司たちの目の前にいるのは、地獄鴉であり八咫烏である妖怪『霊烏路空』そのものだった。制御棒をこちらにむけているのを見ると、何があったか言うまでもない。
「これは……やばいねぇ」
「逃げ道なし。それに……この空間で核融合の攻撃となると……」
捕虜を収容していた部屋ということもあって、部屋自体はかなり広い。だが、お空の攻撃は広範囲かつ強力すぎる。
それに捕虜の関係もあって逃げ場が多いとは言いがたい。相手にとっては標的が多いともとれる。
状況は最悪だった。
「どうした?はやくやれ」
「……」
兵士の命令と同時に、制御棒に左手をそえてこちらを狙うお空。ためらう様子が見えない以上、チップを取り付けられているようだ。
だが、いくら待っても制御棒からエネルギーが放出されることはなかった。
「……おいさっさとしろ」
「……」
兵士の声に反応するお空だが、なぜか攻撃しようとしない。すると、ずっと無表情だった彼女の表情が、ほんの一瞬の間だったが崩れていく。
その顔は、どことなくなにかに抵抗しているようだった。
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