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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
十八話 諏訪の国
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圧倒的な存在感を感じた。そうかこの子が、

「あ!た、ただいま戻りました諏訪子様」

 楓が慌てて頭を下げる。諏訪子はそんな楓を見て笑みを浮かべると琥珀色の瞳を僕に向ける。

「それであんた達は何処のどなたさん?」

 そんな質問をしてきた。

「初めまして諏訪の王。僕は七枷虚空、そしてこの子は―――」

「娘の七枷紫と申します」

 そう言うと紫は優雅にお辞儀をする。だから何処でそんなの憶えたんだよ。

「七枷?」

 諏訪子は何故か、はて誰だっけ?みたいな反応を返す。

「諏訪子様、こちらの方が神狩様なんです」

 楓がそう補足した。というかもしかして本名じゃなくて通り名だけ広まってるのか。すると巫女が声を上げる。

「えー!この方が神狩様ー!確か噂ではその身が8尺(2.4メートル位)近くて、肌は浅黒く筋骨隆々、そしてドスのきいた声で『すでに貴様の頭上には死兆星が輝いておるわ!』と死刑宣告をしてくると聞いていますー!」

「「 誰それ!! 」」

 僕と紫の同時ツッコミ。僕の要素が一欠けらも無いじゃないか!どんな噂話に尾ひれが付けばそんな化け物になるんだよ!

「アハハハッ!まぁ噂なんてそんなもんだよね」

 諏訪子がケラケラ笑う。

「名乗って貰ったんだからこっちも名乗らないと礼儀に反するね。あたしが洩矢諏訪子だよ。早希あんたも挨拶しなさい」

 諏訪子に促され巫女が僕の前に歩いてくる。緑色のショートカット、緑の瞳で背丈は楓と同じ位か。巫女らしく白の小袖と袴を穿いているが、何故か袴の色は青で小袖も襟や袖の所に青い刺繍が施されている。

「失礼しましたー。私はこの諏訪大社で筆頭巫女を務めています東風谷 早希(こちや さき)と言いますー」

 胸を張り自信満々に宣言した早希に諏訪子と楓が、

「「 いやいや!ここの巫女あんた一人だけだから!! 」」

 とツッコむ。確かに一人しかいないのに筆頭も何も無い。

「うー!二人がいじめますー。神狩様ー何かこうガツーンと言ってやってくださいー」

 早希が僕に助け船を要求してきた。僕にどうしろと。

「まぁとりあえずその神狩って呼び方を止めてくれるかな?虚空でいいよ」

 正直今日初めて知った通り名なんかに興味はないのだ。

「んー了解。じゃぁ虚空だね。ここじゃなんだから社殿の方で話そうか、ついて来て」

 諏訪子はそう言うと奥の方に進んで行く。

「私、お茶を淹れて来ますねー」

 早希は足早に別の建物に向かって行く。それを見送りつつ諏訪子の後を追った。



□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




「あたしに仕えてよ」

 早希
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