第百五十九話 ヴァンフリート星域会戦 その8
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れずに“この無能共めあれは擬態だ”とギリギリしながらフレーゲル達を睨み付けていた。
そんなラインハルトの姿すら目に入らない様な興奮でフレーゲル達はがなり立てている。「良いぞ、我が軍の勝利に貢献すれば、叔父上の勘気も解けるであろう」
「これで、ヒルデスハイム家の家督を再度継げる」
そんな興奮の中、ケスラー艦隊から“第十二艦隊の動きは罠の可能性が有る”との忠告が来るが、“俄騎士風情が、高貴なる我等が手柄を立てる事を邪魔するきか”と忠告を無視する。
しかし彼等の歓喜はそう長くは続かなかった。
後退した第十二艦隊を追撃する事に気を取られ、狭い空域にひしめき合うレーテル艦隊は、銀河基準面に平行に艦位を置いているのであるが、その右舷側は完全にケスラー艦隊の進撃を邪魔していた。
それだけでは無く左舷側はエッシェンバッハ元帥直属艦隊と交戦中の第五艦隊に対して全くの無警戒であった。
フレーゲル達の興奮が最高潮に達した直後、突然ガラ空きの右舷側からレーザー水爆の大群が降り注いできた。一瞬にして右舷側に居た多数の艦艇が被弾し宇宙空間に大輪の花を咲かす。
「どうしたと言うのだ!」
「何だ!」
フレーゲル達は慌てるが、ラインハルトは素早く状況を把握しレーテル提督に直言する。
「敵第五艦隊の攻撃だ、提督直ちに対処を!」
その言葉にも、司令部全体が慌てふためき対処出来ない。
更にフレーゲル男爵が、余計な事を言い始める。
「えい、小賢しい事を言うな、全艦直ちに左舷90°回頭敵を撃破せよ!」
第十二艦隊を追っている状態でのいきなりの越権命令であるが、門閥貴族の恐ろしさを知っているオペレータは全艦にフレーゲルの無茶な命令を出してしまう。
その間にも近づいてきた六千隻程度の艦艇がレーテル艦隊に対して砲撃を行いつつゆっくりと後退を始めていく。
混乱の中90°回頭を行い、追撃をしようとした刹那、今度はアステロイド帯から急進撃してきた第十二艦隊の攻撃受け大混乱し始める。
前方からは第五艦隊分艦隊、右舷からは第十二艦隊に痛撃されたレーテル艦隊はとうとう司令部すらパニックになり、各艦がテンでバラバラに逃げ始めた。
旗艦では、フレーゲルが“何故逃げるか、貴族としての矜持を忘れるな”と騒いでいたが、流石に命が大事なアイゼンフート達により羽交い締めにされていた。
レーテル艦隊が四散したために、その進路上に当たるケスラー艦隊は全く前方へ移動する事が出来ずに、返ってレーテル艦隊の残存艦が我先にと突っ込んでくるため、衝突回避システムを全開にして避けねば成らず、再度元の場所へ戻っ来て、ケスラー艦隊に相対する形で機雷を放出し始めた第十二艦隊の動きを邪魔する事も攻撃する事も出来なく成ってしまった。
ビッテンフェルト
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