暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
SAO編
第48話 1日だけの
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
分厚い壁があって……到達できない。『……2人がいる世界にまで自分は行く事が出来ない』 シリカはそう考えてしまっていた。

「あ……あたしは………」

 シリカはそこでぎゅっと唇を噛み、溢れようとする気持ちを必死に押しとどめた。……それは、2つの涙の形へと姿を変え、ぽろりと溢れたその時だ。

「レベルなんて、ただの数字だよ」

 シリカの頭を撫でながら、キリトはそう言い、そして続けた。

「……この世界での強さは単なる幻想に過ぎない。そんなものよりもっと大事なものがある。だからさ、次は現実世界であろう。そうしたら、きっとまた同じように友達になれるよ。オレ達は頑張るから」

 そう言うと……リュウキの肩を掴んだ。

「なぁ? リュウキ」

 リュウキに 同意を求めるように、ニヤリと良い笑顔で笑う。

「っ……。ああ、そうだな」

 リュウキは少し恥かしそうにしながらも頷いた。2人はとても温かい。
 キリトはシリカにとって本当に兄の様で、そして、リュウキは、まるでアニメの世界にありような、本当に頼りになる幼馴染。
 幻想の世界で出会ったこんな偶然を。

(私は、大切にしたい……。ずっとずっと……)

 そうシリカは思っていた。この旅の間ずっと思い続けようと心に誓っていた。

「はいっ。きっと―――きっと」

 シリカは、この時心から笑顔になれた。それを確認した2人も笑顔になった。

「さ、ピナを呼び戻してあげよう」
「はい!」

 シリカは頷き、左手を振ってメインウインドウを呼び出した。
 アイテム欄をスクロールし、≪ピナの心≫を実体化させる。ウインドウ表面に浮かび上がった水色の羽根を備え付けのテーブル上に横たえ、次に≪プネウマの花≫も呼び出した。

「……その花の中に溜まっている雫。それが蘇生の要だ。それを≪心≫に振り掛けるんだ。それで、魂は……≪ピナ≫はシリカの元に戻ってくる。……大丈夫。もう、シリカから離れる事は無い」

 リュウキが、傍で見ながらそう言う。

「は、はいっ 判りました……」

 涙ながらに、水色の心をピナの羽を見つめながら、シリカは、心の中で囁きかけた。



『ピナ……いっぱい、いっぱいおはなししてあげるからね? ……今日の凄い冒険の話を……ピナを助けてくれて、あたしを助けてくれた。』


 また……シリカの目に涙が溜まった。そして、それが目から弾けて、宙に舞う。

『あたしの……たった1日だけの、大好きな……お兄ちゃん。そして……』

シリカは、指に光る指輪を見て……更に涙を流した。

『大好きな……たった1日だけの、理想の幼馴染……の事を……』

 シリカは、そのまま右手の花をそっと……羽根に向かって傾けた。光で部屋が
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ