第四章
やはり彼らの青春は歪み始める。
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ーよ。これやべーよ。材木座と言うたった一人のイレギュラーで人一人の精神が崩壊するまである。
まあ、それにしてもこの反応は過剰な気もするが……、もしかして過去に引っ掛かるトラウマとかあるんだろうか?まあ、例えばの話だけど、昔、中二病患ってたり……とか。流石にそれは無いか(笑)。
中二病、と言うワードで思い出したが、まだ、材木座についての説明をしていなかったみたいだ。
彼の名は材木座 義輝。体格はデブ。
顔はキリッとしているものの、デブ感は否めない。他のことについては特に知らん。見事に外見だけである。ちなみに完全なる憶測だが性格もきっとブス。言い過ぎかも知れないが、比企谷とはまた一風変わったベクトルで腐っている。
そして、何より彼は中二病だ。
さっきの説明が全て無意味とさえ思えるほど、ここまで彼を単純明快に表す言葉もないだろう。
例えば、自分のことを剣豪将軍と呼んだり、劇的な登場をしたがったり、――面倒くさいから要約すると、思うようにならない現実をフィクションで誤魔化すことで何とか精神の平衡を保っていて、でもまあウザさを取り除けばワリと良い奴なんじゃないかな?と、フォローになってないフォローを入れられるような人間だ。
精神の平衡。
それは俺も同じように『どうでもいい』と切り離すことで自分を誤魔化し、一応の精神を保っているのかも知れない。『どうでもよくない』と思って行動したが最期。死にたくなって終わりだ。
俺は辺りに舞う白い紙をナイフでスパスパ切り裂いて、憂鬱な気持ちで虚無感を圧し殺す。
何とない感情を圧殺するために、『材木座はもうすぐ初夏なのにコートなんか羽織って、おまけに指ぬきグローブなんてはめて暑くないのかな。汗かいてるし、絶対暑いよね?』なんて、他人を気遣うフリをしてみる。興味なんか微塵も無いくせに……滑稽だ。
「比企谷くん。この人は誰かしら?」
雪ノ下は比企谷に問う。
「いや、こんな奴は知ってても知らない」
比企谷。それは矛盾だ。
知っているのに知らないなんて事はありえない。ちゃんと「知らなかった事にしたい。ダメ?」ってお願いしとけ。その時は無囲色と言う無興味に免じて許してやる。
そして劇的を求めし哀れな生物は比企谷の見え透いた嘘にも騙される。
「まさか、この相棒の顔を忘れたか?……ふっ、見下げ果てたぞ、八幡」
「相棒って言ってるけど?」
由比ヶ浜が比企谷を『クズはもろとも死ね』と言う目をしている。可哀想に比企谷。材木座と同類と見なされているようだね。――そりゃあ厚手コートの指ぬきグローブ奴と『相棒』、だなんて呼び合う奴は普通じゃないよな。一方的に呼ばれるだけであって呼び合っては無いだろうけど……。
――と
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