第四章
やはり彼らの青春は歪み始める。
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……ああ、お喋りなんか出来ねえか。――って俺もだ……」
相手がいないと言う悲しい理由だった。
「まあ、良いのだけれど……」
「………」
「………」
「………」
「……うぐっ」
「おいそこウッセー咳き込まないで」
沈黙にやられ、空気を変えようと咳き込んだ八幡を黙らせると静かになった……。
しかし、何なのであろう。この奉仕部とやらは。
人助けのボランティアする部活であるハズなのに、皆黙々と読書をしている。
することねえんだろうな、奉仕部……。
まあ、それでも良いんだけど――。
「………」
ただね。ほら。
せっかく皆集まってんのに俺が黙らせたみたいになってる状況は不味いんじゃねえかなと思うんだな。
まあ、確かに俺は静かなのが好きなんだよ。ちなみに先生は好きじゃない方の静な?
でもさ、ねえ……。
『一人の主張や価値観を他人に押し付ける』のって、俺の主義に反してると思うんだよ。
たった一人。それも俺みたいな奴の価値観だぜ。押し付けられた方は堪ったもんじゃない。
家族でも友達ですらねえんだから、それって御法度だよね。
それに『絆』を育む。その邪魔をするわけにも行かないし。
それが永久でない、ごくごく一時的な、脆くて淡くて、しょうもなくて、くだらない、マガイモノだったとしてもさ。
それを邪魔する理由も、権利も俺にはないのかも知れない。
それにコイツらいつの間にか仲良さげになってるし。ナチュラルに俺が除外されてるまである。
……まあ、普段から完全に世界規模で除外されてるんですけど。
俺は何気なく、バカみたいに将来のことも、また、身近な危険も忘れてはしゃぎ、お喋りなんかを始める彼女らを、頬杖をつきながら眺める。
「ねえねえ。いきなり何なの?」
「いや、ただの千葉県横断ウルトラクイズだ。具体的には松戸 ー 銚子間を横断する」
「距離みじかっ!」
「んだよ、じゃあ佐原 ー 館山間にすればいいのか?」
「縦断してるじゃない……」
『おーおー、楽しそうにしやがって……』
俺は、学校で親しくなったヤツと友達になること、それ自体は否定しない。
なぜなら人間関係を持つことも、学校の授業の一環なのだろうから……。
せいぜい価値のある人間関係を築けるとイイネ。
まあ、それでも俺はそんなん出来ないし、どう頑張ったって出来ないことをするのは、例え授業でも、不毛である。俺は女っぽさより、やっぱ除け者がよく似合う。
少し乱暴に、ネームプレートを机に叩きつける。
もう、調子は狂わない。例外などない。本当にいい夢であった。
世の中がどうでもよくなった。人がどうでもよくなった。
疲れるだけ。眠いだけ。寂しいだけ。
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