第四章
やはり彼らの青春は歪み始める。
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『………う――』
これは――光?瞼の隙間から入り込む自然の光。
風が吹いたのだろう。サァー、っと衣擦れの音がする。
ここは何処だ?……眩しい。辺り一面真っ白だ。
「う、ん……ぐ」
視界が眩むので、目を手の甲でごしごしと擦ってみる。
しばらく擦っていると、段々と視界の靄が晴れていく。何だ、これ……。寝起き?俺寝てたの?
しかし想定とは裏腹に、外は明るい。――っ!?
頭を思い切りぶっ叩かれたかのような強烈な違和感……!
ようやく完全に回復した視界。恐る恐る、自分の手元を見る。
膝の上には歯形のついた布切れ。
椅子に継ぎ接ぎ足された木製の肘掛けには、固定された革製の手錠。
腹部にはベルトがもたれ掛かっていた。
そして、強烈な違和感の正体は頭部の爽快感……。
その為か、何だか酷く落ち着かないので、俺はそわそわとした様子で自分のポケットの中などを探ってみる。
刃渡り拾伍センチほどのナイフが制服の内ポケットに一本と、投げナイフが三本。投げナイフは片手の指に挟める分だけ制服の右側のポケットにあった。制服の内側全体一面に仕込まれているのはガムテープ、カッター、バール(のようなもの)、何かを砕くのに役立ちそうな装置、終いにはピッチリと肌に張り付くハンドグローブまで――その他もろもろ含め二十点、あわせて零円ナリ。
これでMk.IIlとC3爆薬を支給されていたら俺は、自分は以前何らかの形で某国から情報収集および兵器の破壊のため派遣されてきた工作員なんだと勘違いしてしまっていた所だ。って言うか勘違いであってほしい。切望。
とりあえず、頭を垂れ、脚を締め付ける二本のベルトを外す。金具を少し弄るだけで、バラン、と音を発てると、ベルトは弾けたように取れた。
「――っ!体が……身体中が、痛い」
特に胸部には焦げ跡すら痛々しく残っていた。
恐ろしい……。いったいどうしてこんな状態にあるのだろう。……俺は拷問でも受けてたのかよ(笑)。
俺はキョロキョロと教室を見渡す。……特に異常は無し――。
――ガラッ。
「……何奴っ!」
何者かが教室に入って来た。
今の自身の状態から推測しうるに、俺は何らかの拉致事件に巻き込まれた可能性が高い。
すかさずボタンを半分ほど開け放した制服の内ポケットからナイフを取りだし、構える。その間、二秒。
素人であれば充分すぎるスピードだったろう。
これも事前に装備を確認しておいたが為に、なせる技だ。ニヤリ。……って何それプロっぽいじゃねえか。
俺はナイフを握り直し、構える形はそのままに、そおっと手を傷
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