第六十話 束縛
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ミネルバとラー・カイラムは戦闘を終了した後にロゴスの最後の構成員であるアズラエルの受け渡しと修理、補給の為にプラントに帰還していた。そして既にその仕事も終わり、二隻の艦は長い戦いから漸く休むことが出来ていた。
「ああ、マーレ――――残念だったね。君が出る前に決着が着いちゃってさ」
そんな中、クラウがラー・カイラムから降り、MS格納庫の一角にいたマーレを見つけるとそう声を掛ける。マーレの不機嫌そうな顔つきはいつにも増した様子を見せており、やはり出撃できなかったことに不満を持っているようだった。
「テメエのせいだろうが……出撃が延長させられた上に機体の調整が完了した頃にはロゴスが壊滅したんじゃ出られるわけねえだろ」
普段ならクラウに対してある程度、お前とかアンタといったりするマーレがテメエという人称代名詞を使っている時点で彼の不機嫌さは目に見えてわかるものであり、流石にクラウも苦笑いしながら答える。
「でも、実際間に合わなかったのは仕方ない話だよ。他の機体で出ても戦闘が終了したころに辿り付たんじゃ意味がないだろう?」
マーレが出撃できなかったのは機体の調整が間に合っていなかったのが原因だが、仮に他の機体で出撃し、敏速のナスカ級での移動であったとしても主戦場に辿り着く前に決着がついていたことだろう。
「そういう問題じゃねえだろ。間に合う、間に合わないは別にしても意志の問題だ」
そんなものかね?とクラウは言いつつもマーレとの会話を続ける。彼にとってそういった感情は分からないでもないが、そこまで固執するかと言われてしまえば否と答えるだろう。それは元来の彼の性格からか、或いは繰り返す転生による部分的な感情の壊死なのかはともかくとして。
「まあ、決着はついたんだしロゴスとの戦争もこれで終わりさ」
「……折角用意した機体は無駄にはならないって事か?」
クラウの言葉の裏を読んだのだろう。マーレが小声でクラウに対してそう尋ねる。流石に人が大勢いる格納庫でそのような話は不適切だと感じ取っているのだろう。
「流石ニュータイプ……勘が良いね。まあ、その話は追って連絡があるだろうさ。準備だけは怠らない方が良いと思うよ」
最初のニュータイプという初めて聞いた単語にマーレは引っ掛かりを覚えるが、それを尋ねようとする前にクラウがマーレから離れて言った為、聞くタイミングを失ってしまいマーレも多少引っ掛かった程度なので別に良いかと思いその場から離れた。
「ああ、楽しみだな――――待ち遠しいよ。この戦争が総てを変えることになるのか、それとも――――」
クラウが一人歩いていく中で浮かべた笑みは破滅を期待するかのような酷く冷たい笑みだった。
◇
「議長からの声明だっ
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