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或る皇国将校の回想録 前日譚 監察課の月例報告書
六月 野心なき謀略(三)
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に応えたいですし、同期が絡んでおりまして慎重に対応したいのです」
 孫の答えに豊長はうなずいてみせる。
「そうか。そちらで成果を出せば堂賀もお前を本格的に見込むだろうな。
家政に差障りが出ると困るのだがな」

「そちらも忘れてはいません。とはいえ弓月閣下には申し訳ありませんがあと数日は手が離せません」

「ふむ――当日までに済むのか?」
見合いは月末さん十日に行われる。弓月伯爵と豊長が直接顔を合わせるためにはどうしてもその日しか空いていなかったからである。
 だが、事後処理を取り仕切る事――人務に関わる以上。そこが一番面倒なのだが――を計算に入れるのなら数日以内に終わらせる必要がある。

「済ませようと思えば終わりますが、どのように幕を引くか、という事が問題になるでしょうから――首席監察官殿と相談して、という事になりそうです」

「焦り過ぎていないようで何よりだ
そこでなんとしても終わらせますと言っていたら道場で叩きなおしていたところだ」

「――え?」

汗を頬に滲ませた孫の肩を叩き、馬堂家当主は笑う。
「まぁ最悪は儂からもとりなしてやる。悔いを残すような仕事だけはするなよ。
人務の仕事は人の半生に関わりかねんからな」

「――はい、御祖父様」

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