第一廻 はじめてのさようなら
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息を呑む音が聞こえる。
図星、か。
?「種馬。」
一刀「あれっ?!なんか、あれっ?!」
ちょっとちょっとちょっと!何々なんなのこの仕打ち!
いや良いんだよ?なんか湿っぽくなってたからさ!
でも…あれっ?!
一刀「待て待て!なんだそれ!
さっきの殊勝な感じは国外逃亡か?!国境警備隊は何をしていた!」
?「ふふっ、冗談です。
さて、では少しだけお話に付き合ってくれませんか?」
一刀「お、おぉ。頭のクイックネス半端ぱねぇな。」
?「先程まであなたが居たのは外史と呼ばれる空間です。
例えて言うなら…傘でしょうか。」
一刀「パラレルワールドって事か?」
?「話が早くて好都合です。
その傘の面はたくさんの人の想いで形作られています。
では…もしその傘の一つの面が破れたら、どうなると思います?」
一刀「それってつまり…」
?「そう、それはもう傘の役目を果たせません。
修繕か、破棄。どちらかの処置をとるでしょうね。
そして貴方が先ほどやり遂げたのは一つの修繕です。」
修繕。だが違和感がある。
一刀「いや、でも実際の歴史とは…」
?「歴史と外史は違います。
外史は人の思いを、歴史は人の記録を指すもの。
多少の繋がりはあれど別のものと考えていいでしょう。
さて、此処から先は、聞くか聞かないかは貴方に委ねましょうか。」
一刀「え?聞かないって言ったらどうなるの?」
?「その場合は、想いを受け止める人が居なくなるわけですから。
まず、外史はまるごと破棄されるでしょうね。
そして貴方は元居た世界へ帰還できます。」
一刀「…破棄された世界はどうなる。」
?「存在そのものの消滅を意味します。
もとに戻すのは…不可能ですね。」
一刀「…。」
?「い、いや、睨まれましても…。」
一刀「あ、あぁごめん。
でも、大体の話はわかってきた。
だから…。」
?「ふふっ」
一刀「聞かない。」
?「あれっ?!なんか、あれっ?!」
一刀「あのな、結局のところ外史を全部修繕してくれって頼むつもりなんだろ?」
?「え、えぇ、まぁ大体はそんな感じですが…。」
一刀「やるよ。
さっきの世界に戻れないかもしれない。
でも、消すわけにはいかないんだ。あいつらを。」
?「…辛い目にあっても、ですか?」
一刀「後悔するよりマシだ。」
?「死ぬかもしれませんよ?」
一刀「かもね。」
?「…。
呆れるほど器が大きいですね。」
一刀「さっきまで誰と一緒に居たと思ってんだ。」
?「ふふっ、なるほど。
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