第一廻 はじめてのさようなら
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だ。
怖かった。当たり前だろう?
でも、根拠はないけど確信があった。
俺は消える。
勝利の鬨を上げ、仲間たちが集まってくる。
一刀「みんなお疲れ様!無事で良かったよ!」
いつも通りに、いつも通りに声を出せ北郷一刀!
涙なんて論外だ!
桃香「ごしゅ…じんさま?」
桃香が、蜀のみんなの顔が固まっている。
一刀「そ…っ!」
そんな顔するなよ!俺達勝ったんだぞ!?
声、出てるよな?出せてるよな?
あぁ、光の粒子が降りてきた。
もう全身が消えかかってるようだ。
嫌々と首をふる桃香。あるものは涙を流し、またあるものは苦悶の表情を浮かべる。
それは周りの兵士たちも同じだった。
桃香「っ!」
桃香が堪え切れずに、抱きついてくる。
ダメだよ桃香、だって…
桃香「きゃっ!」
俺にはもう、触れないんだ。
愛紗「桃香様!」
愛紗が桃香に駆け寄る。
ごめんね、もっと一緒に居たかったよ。
言葉にするんだ。
伝えるんだ。
星「逝かれるのか?」
一刀「…そう、みたいだ。あははっ…。」
星「そうですか…。」
一刀「また…」
会えるのか?絶対に?
約束できるのか?自分を愛してくれた人たちに残酷な嘘をつくかもしれないのに。
かまうもんか。
要は帰ってくればいいだけだ。
だから笑って…。
一刀「また会おう!
絶対に、絶対に帰ってくる!」
恋「…やくそく?」
一刀「あぁ!俺が恋との約束を破ったことがあるか?」
恋「…フルフル」
ありがとう、ありがとうみんな。
紫苑「いってらっしゃいませ、ご主人様。」
桔梗「お館様、お早いお帰りを。」
一刀「行って来ます!」
光りに包まれた。
最後に見えた景色は、涙でぐしゃぐしゃな顔で笑い、「またね」と口を動かす桃香の顔だった。
真っ暗だ。
誰も居ない、ただ一人の空間。
だからこそ泣くことができた。
一刻ほどそうしていただろうか。
優しい声が聞こえてきた。
?「お疲れ様です、北郷一刀様。」
一刀「君は…誰だい?」
そこには儚げに、美しい女性が立っていた。
?「悲しかったですか?辛かったですか?」
一刀「…。」
?「そう、それは全てわたくしのせい。
恨んでいただけるのなら そうしてください。
罵声を浴びせたければ 気が済むままに。」
最初は腹がたった。そうしてやりたいと思った。
でも何故だろう。
この声が俺よりも悲しそうに聞こえるのは。
一刀「いや、遠慮するよ。
悲しそうな女の子を怒鳴りつける趣味は無くてね。」
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