暁 〜小説投稿サイト〜
吉良の奇妙な生活
プロローグ「第2の人生」

前書き [1]後書き [2]次話

ついにこの時が来た。オレは長いこと亡霊として生きてきた。なぜ私がここにいるのか、なぜオレは亡霊なのか。何度も何度も思考を働かせていたが、結局何も見えてこない。私が本当は誰なのかすらわからない。ただ退屈だった。自身の求める平穏など訪れはしなかった。そんな地獄で退屈な日々とはどうやら今日を持って離れられるわけだ。自分としては十分ではないものの、もう十分だ。もういい。オレは長くいすぎた。 でも叶うならば、もう一度・・・人間として人生を歩みたい。
もう一度、本当の自分を知りたい、植物のように平穏な生活が送りたいとさえ思う。
どうか、もう一度・・・。

吉良吉影は・・・亡霊だった。人間でもあった。そして・・・「殺人鬼」「殺し屋」とも呼ばれた男だった。だがそんな彼にも一筋の光の道が現れた。そこは、はるか遠くまで続いているようにも思える。

吉良は、願いとともにその流れに乗る。彼が最後に見たものは明るく、そして未来あふれる情景・・・。彼は満足し、その情景とともに溶けて消えた。

彼はどうなったのだろう。吉良吉影という男は再び人として生きることができるのか・・・。それとも朽ち果てたのか・・・知る術はない。

ただ一つ言えることは、彼は最後にそれを目撃したとき、笑顔に満ち溢れ、両手両足を広げ、空を感じた。そこに幸福はあった。人間としての感覚はないが、彼の悩みの種である退屈という孤独感はそこで打ち消された。 そして溶けた。彼の託した願いとともに・・・。


前書き [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ