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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第10話:ハラオウン家の兄妹
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(彼ならフェイトのことを頼めるか・・・)

やがて、クロノはゲオルグから目をそらし、小さく息を吐いた。
そして、再びゲオルグの目を見る。

「フェイトは自分を生んだ技術がエメロードに悪用されているのではと
 疑っているんだ」

「それって・・・プロジェクトF・・・ってやつですよね」

「そうだ。 それでフェイトは頭に血がのぼっているんだ。
 そんな状態ではどんな無茶をするかわからないから、グライフ艦長に
 フェイトを作戦に参加させないで欲しいと頼んだんだけどね・・・」

語尾を濁すクロノに、ゲオルグは首を傾げる。

「だけど・・・なんなんですか?」

「断られたよ。 フェイトは戦力として不可欠だし、何より執務官として
 容疑者の拘束には立ち会ってもらう必要がある。とね」

「それは・・・そうでしょうね」

ゲオルグは眉間にしわを寄せて頷いた。

「彼女はウチの魔導師で実力は一番ですし」

「だが、冷静さを欠いてる。 だから、もしフェイトが作戦中に暴走するような
 ことがあったら、君に止めてもらいたいんだ」

「僕がですか?」

クロノの言葉にゲオルグは目を見開く。

「ああ。 君ならフェイトをうまく説得できると思うんだ」

ゲオルグは気弱な表情をクロノに向ける。

「自信はないですけど・・・やってみます」

ゲオルグが小さく頷くと、クロノは安堵の吐息をもらした。

「そうか、助かるよ」

クロノは微笑を浮かべてゲオルグの肩を叩く。

「任せてください・・・なんて言えないですけど、ベストを尽くします」

クロノにつられてゲオルグが浮かべた笑顔はどこかぎこちなく、
自信のなさを表しているようだった。


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