外伝
外伝1:フェイト編
第10話:ハラオウン家の兄妹
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恐る尋ねる。
「まあね。 それもフェイトから聞かされたから」
「そうですか。 あの、すいません・・・」
ゲオルグが謝ったことに対して、クロノは意外そうに首を傾げる。
「んっ? なぜだい?」
「ハラオウンさんがフェイトから聞いているかわからないんですが・・・」
「クロノだ」
クロノに割り込まれゲオルグは話を中断するしかなかった。
「はい?」
「ハラオウン、じゃフェイトと紛らわしいだろう? クロノと呼んでくれていい」
ゲオルグは驚き、クロノの顔を見て何度かその目を瞬かせる。
「では、クロノさんと」
「ああ、それでかまわない。 それで、なぜ君は謝ったんだ?」
クロノのその言葉で話は再び本筋に戻り、ゲオルグはおずおずと口を開いた。
「フェイトが自分の過去を僕に明かしたのは、落ち込んでいた僕を励ますため
だったんです。 それが申し訳なくて・・・」
「フェイトはそんなことは言っていなかったけどね」
クロノは首を傾げながら先を続ける。
「フェイトからそのことを聞いた時に、僕は本当に大丈夫かと心配したんだ。
でも、フェイトは"ゲオルグは大事な友達だから大丈夫"と言っていたんだよ。
しかも笑ってね。
僕が思うに、フェイトは君に全幅の信頼を置いていると思う。
その意味でも僕は君に感謝しているんだ」
クロノは壁から背を離してゲオルグの方に歩み寄る。
「これからもフェイトと仲良くしてやってくれ」
クロノはそう言うとゲオルグの手を握った。
ゲオルグは驚きで目を丸くしていたが、少しして落ちつくとクロノの手を
自分の手から優しく引き剥がした。
「もちろんです。 僕にとってもフェイトは大事な友達ですから」
ゲオルグはそう言って笑った。
つられてクロノも声をあげて笑う。
艦内通路の真ん中で、2人の少年はしばし楽しげな笑い声をあげていた。
やがて、2人の笑い声は収まり通路に静寂が戻る。
その静けさの中で、ゲオルグは冷静さを取り戻した。
(そういえば、クロノさんもあの部屋に居たんだよね。
ひょっとして僕らが行く前の部屋の中で何があったのか知ってるんじゃ・・・)
「クロノさん。 ひとつ訊きたいんことがあるんですがいいですか?」
「なんだい?」
「僕とヒルベルトさんが行く前、会議室で何があったんですか?」
ゲオルグが尋ねると、にこやかだったクロノの顔から表情が消えた。
「何がと言われてもね。 何もないよ」
「本当ですか?」
ゲオルグはクロノの目をじっと見つめた。
「僕にはフェイトが今にも泣きそうな顔に見えたんですが」
そう言ってゲオルグはクロノの顔を見つけ続ける。
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