外伝
外伝1:フェイト編
第10話:ハラオウン家の兄妹
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どな。 あんな顔初めて見たよ」
「僕もです。 ちょっと心配ですよね」
「まあな。 ただ、事情を知らない俺らが首を突っ込むのもなぁ・・・」
どうしたものかと頭をひねるヒルベルトであったが、
容易に答えは見つかりそうもない。
「それとなく僕が聞いてみましょうか。 同年代ですし」
「大丈夫か? 藪蛇になると厄介だぞ」
「そうですよね。慎重に言葉を選ぶようにしますね」
ゲオルグはヒルベルトに向かってそう答えると、どう話すべきか考え始めた。
そのとき、彼らの背後からかけ足で彼らに近づいてくる足音が通路に響く。
「すまない!」
その声に2人は振り返る。
そこには先ほど会議室で出会ったばかりのクロノが立っていた。
「なんでしょう?」
ヒルベルトが尋ね返すと、クロノは少し息を整えてから口を開いた。
「少し、シュミット3尉と話したいんだ」
「僕とですか?」
吃驚したゲオルグが首を傾げながら訊き返す。
「ああ、時間はあるかい?」
「ええ」
ゲオルグが頷くと、ヒルベルトは手を挙げてくるっと振り返る。
「じゃあ、俺は先に行ってるから」
「はい」
ゲオルグは去っていくヒルベルトの背中を眼で追った。
ややあって、ゲオルグはクロノの方へ向き直る。
(この人が"あの"クロノ・ハラオウン先輩か・・・)
ゲオルグはクロノを見ながら、士官学校の先輩たちが語っていた
"伝説の先輩"のエピソードや渾名を思い返していた。
畏怖あるいは恐怖の感情がゲオルグの心中を襲い、ゲオルグは少し身を固くする。
「そう緊張しなくていい。 妹が君のことを何度か話していたから、
どんな人か一度会ってみたいと思ってね」
「フェイトがですか?」
「ああ。 この艦に配属されたころかな、同年代の子と友達になったと言ってた。
そのころは君の名前は聞いていなかったから、男とは思わなかったけどね」
通路の壁にもたれて立つクロノは苦笑しながら話す。
「でも、まあ君には感謝してるんだよ。 フェイトは見ての通り内気なところが
あって、あまり交友関係が広い方じゃないから話相手も限られててね」
「そうなんですか?」
意外に思ったゲオルグが尋ねると、クロノはわずかに伏し目がちになる。
「ああ。 君も知っての通りフェイトは育った環境が特殊だったからね」
「なるほど・・・ってご存知だったんですか?」
目を大きく見開いたゲオルグが声のボリュームを上げて訊く。
「なにをだい?」
「僕が・・・その・・・フェイトの過去を知ってるって・・・」
フェイトの過去を自分が聞かされていることをクロノが知っていると思わず、
ゲオルグは恐る
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