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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第10話:ハラオウン家の兄妹
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「ここにはミッド資本の製薬会社の工場があったのですが、数年前に撤退して
 操業を停止していました。
 しかし、建物自体は解体されずに残っていて、地上本部の施設部によって
 管理されていました」

「つまり、ここにエメロードがいる可能性が高いと?」

グライフが確認するように尋ねると、クロノは首を縦に振った。

「そうです」

「わかった」

腕組みをしたグライフが深く頷く。
顔をあげたグライフはミュンツァーのほうに目を向けた。

「ミュンツァー。 ヒルベルトとシュミットを連れてきてくれ」

「わかりました」

ミュンツァーが頷き、席を立って会議室から出て行った。

「ハラオウン執務官。 我々はこの閉鎖された工場の調査に行こうと思う。
 これから当艦の魔導師隊の分隊長が来るから、彼らにも話をしてくれ」

「了解です。 それと、本局に戻り次第にはなりますが、作戦への上層部の
 認可を得るのと、工場の図面も用意します」

「頼む。感謝する」

「クロノ」

そのとき、会議が始まってから一言も発していなかったフェイトが初めて喋った。

「なんだい?」

クロノはグライフからフェイトへと視線を移す。
そこには、泣きそうな表情で座る彼の妹がいた。

「エメロードはプロジェクトFと関係してるの?」

「それを知ってどうするんだ?」

フェイトの問いに応えるクロノの顔に表情は無かった。

「それに、奴がアレに関わっていようがいまいが、
 君のすることに変わりはないはずだ。
 なら、知ったところで意味はないと思うけどね」

「でも!」

なおもフェイトは言い募り、席を立ってクロノに迫ろうとする。
そのとき、会議室のドアが開かれた。

「連れてきました・・・って、何かあったんですか?」

ゲオルグとヒルベルトを連れて戻ってきたミュンツァーが、
ただならぬ雰囲気のフェイトを見て、グライフに恐る恐る尋ねる。

「いや、何でもない。いいから3人とも座れ」

「はぁ・・・」

ミュンツァーはグライフに厳しめの口調で言われ、心の中で小さくため息をつくと
自分の席に座る。
その様子をミュンツァーの後から見ていたゲオルグとヒルベルトはお互いに
目を合わせて軽く肩をすくめ、空いている席に腰を下ろす。

グライフは全員が席に着いたところで改めて部屋の中にいる全員の顔を眺める。
フェイトとクロノは先ほどの言い争いの影響か気まずい表情をしていた。
ミュンツァーは自分の居ない間に何があったのか探るようにフェイトと
クロノの顔を交互に見比べている。
部屋に来たばかりのゲオルグとヒルベルトは、自分たちが来る前に
何かがあったのは気付いていたが、それが何かは判ら
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