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機動6課副部隊長の憂鬱な日々
外伝
外伝1:フェイト編
第10話:ハラオウン家の兄妹
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の件について起訴すれば実刑となるのは確実ですから、その間に
 今回の件についてじっくり調査や聴取を行うことは可能です。
 これで答えになっていますか?」

「ええ。 私が気にしていたのは法に拠らない執行権の行使にならないか
 ということですから」

「そういうことなら、心配はありませんよ。
 で、2つ目の質問についてですが・・・」

クロノはそう言うと、一旦言葉を止める。
どう言うべきか言葉を探してクロノの視線が宙をさまよう。

「この研究所は管理局の外郭機関が所有するものです。
 ですが、この機関は実体がありませんでした。
 ダミー団体と見るべきでしょうね」
 
「団体の設立者は?」

グライフは落ちついた口調でクロノに向かって尋ねる。
クロノは3人の顔を順番に見た。

「地上本部の作戦部で兵器開発計画を担当しているポー1佐です。
 彼は以前から生物兵器の研究を推進していたようですね」
 
「地上本部の1佐が!? そんなバカな!?」

ミュンツァーが机を拳で叩きながら叫ぶように言う。

「少し落ちつけ、ミュンツァー」

グライフがそう言って隣に座るミュンツァーの肩を叩くと、
ミュンツァーは我に返りクロノに向かって頭を下げた。

「取り乱して申し訳ない」

「いえ。 僕も初めて知った時は取り乱しましたしね」

クロノはそう言って笑顔を見せた。

「ところで、エメロードはどこに?」

グライフが落ちついた口調で尋ねると、クロノは笑顔を消してグライフの方を向く。

「それですが、大雑把には把握できているのですが、正確な場所については
 推測しかできていません。
 それを承知いただいたうえで聞いていただきたいのですが・・・」

クロノはそこで画面に一枚の画像を映し出した。
それには列に並ぶ20人ほどの男女が写っていた。

「この写真は第27管理世界の次元港にある監視カメラで撮影されたものです。
 ここにエメロードが写っています」
 
クロノが指し示したところに全員が注目する。
そこにはカジュアルな服装に身を包んだエメロードが立っていた。

「この写真が撮られたのが1カ月前。それ以降の記録を見る限り、
 彼が第27管理世界から移動した形跡はありません」
 
「つまり、奴は今もそこにいるというわけですか」

腕組みをしたミュンツァーが尋ねると、クロノは神妙な顔で頷いた。

「そうです。 ですが、この世界のどこにいるかを正確に把握できてはいません」

「推測はできているのですよね?」

ミュンツァーの再度の問いかけにクロノは黙って頷いた。
画面に一枚の地図を映し出したクロノは、その中央に描かれた1つの大きな建物を
指し示した。


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