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今の時間だと……攫えねえから明後日の朝一番でな」
明日は日曜、ことを成すには少々人が多すぎる。
…………歯痒いこと極まりないが、完全にことを成すためには時間も重要だ。
登校間際、欠席しているならば家に訪ねて行って宅配便を装って拉致るのでも構わない。
そこら辺の手段はコイツに一任して問題ないだろう。
頭も回るし機転も利くからな。
「了解。でも、まだあるんすよね?」
本当に気が利く男だ。
こんな小さなクラブのバーテンやるより、ヤクザか何かに転職した方がのし上がれるだろうに。
「その通り。月学にな、江古田って教師が居るんだ。そいつも拉致れ」
江古田は一年の時から陰で俺の悪口を言っていたねちっこい教師だった。
別にその程度で怒るつもりもないし、面と向かって言う度胸もない小物なので見逃していたが……
今回の件に絡んでいる以上、放置は出来ない。
風花の行方は知らずとも、邪魔をしたのは確かなのだから。
「はぁ……そっちは簡単そうっすね。けど、何でまた?」
教師だから出勤しないと言うことはまずない。
拉致るのも容易だろう。
「そうだな……教職に就く者にあるまじき振る舞いをしたから、その天罰ってのはどうだ?」
「――――ギャハハハハ! そ、そのギャグ最高に受けるっすよ!」
「だろ? 偶には正義の味方やってみたかったんだわ」
「どっちかっつーとダークヒーローじゃないっすか? 仕事人的な」
「主水が好きだったんだがなぁ……まあ冗談はさておき、余計なことをしてくれたんだよ江古田の野郎は」
風花の両親との間で納得が成されていようとも関係ない。
そんなもの知ったことではない。
アイツの父母をどうこうする気はないが、娘が行方不明だってのに騒ぎ立てもしないんだ。
そんな薄情な連中に遠慮などする必要はない。
「ま、了解です。迅速――且つ、スマートに済ませますよ。明日算段を整えて、明後日パーフェクトに、ね」
「かぁっくいいねえ。期待してるぜ」
これがS.E.E.S.ならばこのような手段は避難されていただろう。
だが俺は、はぐれ者で公共の敵《パブリックエネミー》だ。
やれることは非合法であろうともやる、そこに躊躇いはない。
誰も守ってくれないが、取れる選択肢が広いのがこの世界。
そのありがたさを身に染みて知った。
「しかし行方不明……」
中東行の船へでも乗せられた? 別に中東でなくてもいい、売られた?
否、馬鹿共にそこまでの度胸はないだろう。
ヤクザの女として売るにしても、たかだか女子高生にそんな伝手はないはずだ。
あったとしても、それならそれで報復手段は取れるが……やはりそこまでの度胸が奴らにあるとは思えない。
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