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来るように伝えると、まだ近場に居る人間を向かわせるとのこと。
「どもっす! お待たせしたようで申し訳ない」
公子の声を遮るようにエンジン音が轟く。
やって来たのは行きの足となってくれた灰毛だった。
「あれ? お前帰ったんじゃなかったか」
「いや、暇だったんでここいらで張ってた他の連中と向こうのビルの屋上に居ました」
「覗き見かよ。趣味悪いな」
「アハハ……でも、これであそこの連中は大人しくするでしょうね。で、帰るんすよね?」
「ああ。エスカペイドまで頼む」
バイクのケツに跨り、そのまま発進する。
公子らが何か言っていたようだが、そんな暇はない。
「……何かあったんすか?」
「まあね。最高に気に食わないことがあったのさ。だから、飛ばせ」
「っす!」
ふと気付いたが、この灰毛――――多分中坊だ。
どうにも大人びているように見えるが、身体つきとかが若干幼い。
発育不良かとも思ったが、にしては血色がいい。
…………無免の上にノーヘル二人乗り、対々和くらいの役はありそうだ。
「……時は待たない、終わりは誰にでもやって来る」
ふと、そんな言葉が思い浮かんだ。
この言葉はだからこそ後悔がないように過ごせと言っている。
確かにこれほどの後悔、そうはない。
他人を使った上でしくじるならばそれは自分の責任でツケは自分で払う。
自分のせいでならば、言うまでもない。
だが、今回の件は違う。
払われるべきツケを払ったのが俺でなくて風花なのだ。
「何か言いました?」
「何も」
だから、アイツを見つけてキッチリツケを払わせてもらおう。
「っと、着きましたよ」
「サンキュ」
挨拶もそこそこにエスカペイドの中に入る。
俺を見つけたバーテンに視線で奥へ来るように促す。
酔いはすっかり醒めていた。
「お早い御帰りってわけでもないけど……何かあったんすか?」
「あった。それも飛びっきりムカツクことがな」
「へえ……で、俺らはどう動けばいいんすかね?」
話しが早くて助かる。
男と以心伝心なんて嬉しくはないが、この場においてはありがたい。
「前に俺の幼馴染の件で女シメてもらったろ?」
「はぁ、あの怪談で意識失ったとか言う女共っすよね?」
そうか、怪談を調べたんだから被害に遭った奴らも知っていて不思議じゃないか。
だが、それ以上は調べなかったようだ。
「実はな、風花――幼馴染が行方不明になっちまったんだわ」
「……! 探させますか?」
「そっちは俺がやる。お前らにやって欲しいのはイジメてた女共居るだろ?」
「はぁ、確かまだ一人居たような……森山だったかな?」
「んじゃあそいつ拉致ってここ連れて来い。
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