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わせる。
こんなアホみたいな演技はしたくないのだが、仕方ない。
徹底的にやっておかねば禍根を残して後々の面倒に繋がってしまうのだから。
「教えてくれたらスクワットから解放、だけどなぁ……一人で十分なんだよな」
「な、何か怖いよ裏瀬くん?」
「気のせいさ。俺は優しいぜ。で、だ。どうよ、殴り合って決めてみるか? 女も男も関係なしにさ」
全員が動きを止めて互いを見つめ合っている。
俺の言葉が本気だと悟ったのだろう、徐々に険悪な空気が――――
「――――そこまでにしといてやれ」
「へえ……」
一気に空気が霧散する。
現れたのは夏場だってのにコートを着てニット帽を被った男。
直接会うのは初めてだが――――荒垣だ。
「お前が考えてることは分かるが、やりすぎだ。それで人は縛れねえぜ」
「支配する気なんぞないさ。あくまで大人しくさせるのが目的だ。ああ、面倒かけられたくないんだよ」
荒垣は俺のやっていることの意味をほぼ正確に把握しているようだ。
違うのは恐怖を与えて支配するのではなく、恐怖を与えて大人しくさせること。
前者は長期的に見るならば酷く不安定な手で、後者の目的ならば効果は覿面。
「……成る程。短期的に見れば確かに有効だろうが、そいつらも十分理解しただろうよ」
「甘いねえ。馬鹿は痛くなきゃ覚えないのさ。ほら、俺もその口だから分かるんだよ」
少なくとも脇腹を抉られて骨を砕かれ、命の危機に瀕しても俺は馬鹿を止められなかった。
俺にとっては既知の打破は最優先事項だが、傍から見れば馬鹿の所業だ。
これで懲りていないのだから――――つくづく救えない。
「ここの連中はお前程イカレちゃいねえ。これ以上やる必要がどこにある?」
「おや、優しいこった。それはアレかい、人を傷付けるのに忌避感があるからか?」
「気分が悪いだけだ。無駄に騒がしいのがここの空気なんだよ」
「成る程。逃避するにゃもってこいか? だが……お前さんにとってはここらは避難所になるのかい?」
荒垣の視線が険しいものに変わる。
ここまで言えば俺が彼を知っていることに気付くだろうし当然だ。
しかし、それよりも……
「お前、その目――」
瞳の濁り具合、それは精神的なものではなく肉体的なものだ。
これでも医者の息子、多少の心得くらいはある。
「――――クスリか。それもかなり悪質な」
あのコートなんかもクスリの弊害のせいか?
体温調節が上手くいかず……そうなると、かなりヤバめのクスリだろう。
ジャンキー特有の禁断症状はないようにも見えるが、定期的に摂取しているのは明白。
必要だから劇薬を服用していると言うわけか?
まあ、何にしろ――
「……それ、止
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