第1話:ハイジャック事件
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隔てられていても実行可能ですよね?」
『いえ、隊員たちは魔法攻撃に倒れたんではないです。
連中は実弾を用いた狙撃によって負傷したんです』
「なんですって!?」
ゲオルグは驚きを隠せず、思わず大声で問い返す。
機内の隊員たちがその声に驚き不安げにゲオルグの方を見ていた。
「少し落ちつけ、ゲオルグ。 あいつらが不安がっているぞ」
チンクは小声でそう言いながら、クイッと隊員たちの方を指さす。
ゲオルグが目を向けると、隊員たちと目があった。
(マズイマズイ。俺がコイツらを不安にさせてどうするよ・・・)
ゲオルグは何度か深呼吸して気分を落ち着けると、画面のなかのウォルフに
目を向けた。
「取り乱して申し訳ない」
『いえ、大丈夫ですよ』
ウォルフは一瞬苦笑するが、すぐに元の表情へと戻る。
「ところで、実弾狙撃を受けたのなら人的被害は・・・?」
『いえ、幸い死者は出ませんでした。 かなりの数が重傷を負いましたがね』
「そう・・・ですか」
『何か気になることでも?』
ウォルフに尋ねられ、ゲオルグは何度か両目を瞬かせる。
「なぜです?」
『死者はいないと私が言ったときに、意外そうな顔をされましたので』
ウォルフの言葉にゲオルグは一瞬目を見開き、次いで苦笑しながら頭をかいた。
「顔に出てましたか・・・。 正直言って、実弾での狙撃を受けて
一人の死者も出ないというのはかなり意外でして」
『そうですか?』
「ええ。 狙撃にしては精度が悪すぎると思うんですよ。
まあ、次元港の敷地外からであれば最短でも2000m以上の距離がありますから
よほど高度な訓練を積んでいなければ難しいとも思いますが」
『なるほど』
ウォルフは感心したように何度か頷いた。
一方ゲオルグは、情報は十分か確認するためにチンクとクリーグに目を向ける。
ゲオルグの視線の意味を理解した2人は無言で首を縦に振った。
ゲオルグはチンクとクリーグに向かって頷き返すと、再び画面の中のウォルフに
向き直った。
「貴重な情報をありがとうございました。 20分ほどで到着しますので
そちらは次元港内の秩序維持をお願いします」
『了解しました。 我々で協力できることがあればなんでも言ってください』
「ありがとうございます。では」
ゲオルグとウォルフは互いに敬礼を交わし合い、通信を切る。
ゲオルグは大きく息を吐くと2人の分隊長の方に向き直った。
「ということだが、どう思う?」
ゲオルグが尋ねると、腕組みをしたチンクが口火を切った。
「次元港の警備部隊が受けたのは狙撃で間違いないだろうな」
「根拠は?」
チンクの言葉に
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