第1話:ハイジャック事件
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中のクロノは小さく頷いてから通信を切った。
通信ウィンドウが閉じると、ゲオルグは再び自らに喝を入れるように
強く、短く息を吐くとチンク達の通信ウィンドウに向き直った。
「聞いてたか?」
短く尋ねると、3人は黙して頷く。
ゲオルグはそれを見て満足げに3人に向かって頷き返す。
「よし、では出動だ。 イーグル・フォックス両分隊は全員5分以内に
ティルトロータに搭乗。 状況説明は機内で行う。 以上だ」
「了解」
3人は揃って返事をすると通信を切った。
ゲオルグは自分の机を回り込み、自室と廊下を繋ぐドアへと向かう。
廊下には副官のフォッケ3尉が直立不動で待っていた。
ゲオルグが"ついて来い"と合図をすると、フォッケは半歩遅れて続く。
「俺はイーグルとフォックスを率いて次元港に行く。
ここにはファルコンを残していくから、指揮はお前に任せる。
情報収集と隊舎の警備を頼む。
ま、要はいつもの通りだ。 いいな、フォッケ?」
「心得ています。 任せてください」
フォッケが真剣な表情で頷くと、ゲオルグは立ち止まって振り返り
口元に笑みを浮かべた。
「頼りにしてるよ。 じゃあな」
「はい、お気をつけて」
フォッケはそう言ってゲオルグに向かって敬礼する。
ゲオルグは片手をあげてそれに応えると、フォッケに背を向けて足早に歩きだした。
階段を駆け上がり屋上に出ると、そこには1機の飛行機が待っていた。
その両翼では大きめのプロペラが上に向いて回転していた。
ゲオルグが機体後方に大きく開いた乗降口から機内に入ると、
両側に座っていた20人ほどが一斉にゲオルグの方を見る。
「待たせたな、揃ってるか?」
「イーグル分隊は揃っている」
「フォックス分隊も全員搭乗済みです」
ゲオルグの問いかけに対し、両分隊の分隊長たるチンクとクリーグが答える。
「よしっ、離陸だ!」
「了解です。離陸します」
機体前方にある操縦室からの返答が機内に響くと同時に、
機体はわずかに左右に揺れながら上昇していく。
窓から隊舎の全景が見える程度に高度があがると、プロペラの角度が
前向きに変わり機体が加速し始める。
機体が安定したところで、ゲオルグは隊員たちの顔を見ながら
機体前方へと移動していく。
隊員たちは作戦開始に向けてそれぞれに準備を進めていた。
時折ゲオルグと目が合うと、ほぼ例外なく笑顔を向ける。
(うん、みんな落ちついてるな)
ゲオルグは隊員たちの様子に安心している自分に、わずかな自嘲の混ざった
妙な可笑しさを覚えて苦笑する。
(この精鋭には要らない心配か。我ながら心配性というかなんというか・・・)
隊員たち間を抜けて前方
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