第1話:ハイジャック事件
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時に新暦79年の春。
所は第1管理世界ミッドチルダの中心都市であるクラナガン。
港湾地区の片隅にその建物は立っていた。
さかのぼること4年前。
次元世界全体を揺るがしかねない大事件であったJS事件に深く関わり、
その解決に大きな役割を果たした機動6課が、当時隊舎として使っていたものだ。
だが、今はとある部隊が隊舎として使っている。
今やちょっとした有名人である、元機動6課部隊長の八神はやてが
当時使っていた部屋には、一人の男が居た。
その男、ゲオルグ・シュミット2佐はその両足を机の上に投げ出し、
スナック菓子をポリポリとかじりながら目の前に浮かんだウィンドウに映る映像を
眺めるという、だらしないことこの上ない格好でいる。
『只今から予定を変更して緊急ニュースをお伝えします。
今から30分ほど前、クラナガン次元港において次元航行船の
乗っ取り事件が発生しました。
乗っ取られたのは・・・』
画面の中の女性アナウンサーが真剣な表情で語っているさまを
ゲオルグはぼんやりと眺めていた。
しかしその眼は真剣そのもので、画面を睨みつけているようにも見える。
《マスター。動かなくていいんですか?》
姿なき声が部屋の中に響くと、ゲオルグはその頭を自らが座る椅子の背もたれに
預け、目線を部屋の天井へと向ける。
「クロノさんからの命令が下りてこないんじゃ動きようがないだろ。
それに、この程度の事件ならウチが出張ることもないな。
次元港の警備部隊で十分対応できるさ」
ゲオルグはそう言って再び画面へ目線を戻す。
《そううまくいきますか?》
「今日は早く帰りたいからな。 そう願ってるよ」
《そういえば今日はヴィヴィオさんとトレーニングの約束をしてましたよね》
「そういうこと。 それに最近帰りが遅いからなのはに負担をかけちゃってるし」
《なるほど。 なのはさんが怖いんですね?》
「・・・ま、否定はしないよ」
ゲオルグはそう言うと眉間にしわを寄せた。
不機嫌さを隠そうともしない表情で見つめる画面の中では
次元港の前に立つレポーターが早口で喋っている。
(報道管制は順調・・・か)
先ほどからどの放送局でも乗っ取り事件について報道してはいるが、
その内容は事件の発生状況について概要を説明するばかりで、
管理局側の具体的な対応などについては一切報道していない。
人質救出作戦の実行にあたって犯人側へ作戦の情報を与えないために
報道内容を管理局が規制しているのである。
報道管制がマニュアル通りに行われていることに満足し、
急角度を描いていたゲオルグの眉はわずかにその角度を緩める。
「さて・・と」
ゲオルグは一人きりの部屋で小
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