第十八章
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第十八章
「とてもね」
「だが。わかったからこそ勝てた」
役はここでまた言った。
「このようにな」
「そうですね。じゃあ役さん」
「ああ」
「そのあいつですけれど」
もう完全に消えてしまった魔物のことをまた言うのだった。
「俺達がいるこの世界とは全く別の世界の奴ですよね」
「それは昨日言った通りだ」
それ以上は言う必要も無いといった言葉だった。
「それはな」
「そうですか。魔界でもなく」8
「魔界か」
役は魔界と聞くと言葉を少し変えてきたのだった。微妙に、ではあるが。
「魔界の方が遥かにましだな」
「ましですか」
「実は魔界はあの者達と対立している」
そしてこのことも本郷に話してきた。
「彼等とな」
「それはまたどうして」
「魔界には秩序がある」
役は魔界にいる悪魔達についてから話をはじめた。
「悪魔達のな。そうだな」
「はい」
そしてこれは本郷もよくわかっていることだった。悪魔達は悪とはあるがそこには秩序がある。厳格な法があるのだ。言い換えれば彼等もまた正義の一つなのだ。秩序や法が正義であるというならば。実際に彼等が神を倒せば彼等がその神になると言う者もいる。
「しかしだ。あの者達は違う」
「秩序とか法とかはないんですね」
「全くだ。あるのは混沌だ」
それだというのだ。
「それだけだ。あとは本能か」
「そういえば原始的だって言ってましたね」
本郷は役の昨日の言葉をここでまた思い出した。
「あの連中は」
「その通りだ。その本能のまま魔界の悪魔達も襲っている」
そうしているというのだ。
「そして秩序や法を重んじる悪魔達はだ」
「奴等を全力で倒そうとしているんですね」
「考えてみればいい。我々は悪魔と対している時は話し合いで済むことが多いな」
「ええ」
実はそれが現実なのだった。
「むしろ天界の奴等より話がわかる位ですよ」
「他にも獣人や怨霊とも言葉を交えたことがあったが」
「あの連中とは全く、ですか」
「話し合いなぞ全くできはしない」
役はまた言った。
「戦い。殺し合うだけだ」
「面倒な奴等ですね」
「そうした相手だ。だからこそ厄介な相手だ」
「そうですね。そうした相手だと」
「また。戦うことになるかも知れない」
役の目が険しいものになった。
「あの世界の住人とな」
「まあそれが仕事なら仕方ないですね」
本郷は役の言葉を聞いて右手の小指で耳の中をほじりながら述べた。
「話し合いができないのなら潰すだけですし」
「その通りだ。あの世界の住人は倒すしかない」
役の今の言葉は本郷と同じものだった。
「必ずな。倒すしかない」
「そうですよね。今みたいに」
「わかったな。それではだ」
戦いは終わった。次に言
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