2章 これが「異能者、無能者の会」
第十一話「仲間」
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いるどころか日に日に著しく物騒になっている。
メル
「ふぅ…邪魔者は片付いたわ。さて…。」
シャイン
「ぇ、何するのさ!?」
思わず僕は彼女の手を引く…。いや、せざる負えなかった。だって瀕死状態のユウタをなぶり殺そうと言わんばかりに、ソファーを片手にとっていたからだ。あれ、この光景…どこかで見たような…。
メル
「何って、始末するんじゃない。」
シャイン
「いやいやいや、そんな物騒な事軽々と言わないでくれよ。」
メル
「どうしても?」
シャイン
「あぁ…どうしてもだ。」
メルは潔くソファーから手を置き、ため息を吐くと同時に背もたれにもたれかかった。
メル
「はぁ…。」
こんなにしょぼくれたメルを見るのは今学期初めてだ。それにしても…僕の知っているメルは…どこに行ってしまったんだろうか。
シャイン
「メル…どうしたんだ?そんな顔して、いつものお前らしくないじゃないか。」
すると物凄い視線を僕に浴びせた。メルの目には、怒りに満ちていそうでそうでない相反する、哀しみの目をしていた。僕は思わず目を逸らす…。僕の視線の先には…片手で頭を抱えるシィラの姿があった。
メル
「何よ…。本当の私を知らないくせに…ありのままの私を…。もういいわ、帰る?」
シャイン
「ちょっと?」
バタンッ?
メルはひどく赤面し、部屋から出た。
僕はどうすることもできなかった。ただただ立ち尽くすだけしかできなかった。彼女は確かに涙を流していた。気のせいじゃない。確かに彼女は今、僕に裏切られたんだ。僕のして欲しくないことを、僕がしてしまった。
シャイン
「メル?」
シィラ
「早く行ってあげてよ?このバカっ?姉御の気持ちをちっとも理解しないで…ホントにあなたって人は…。」
僕は、後悔する。僕はありのままであろう彼女の姿を受け入れず、ただ「変だな」と軽率に思っていた。僕はどうしようもない人間だ。自分を想うばかりで他人には全くもって面と向き合う事はなかった。それくらい僕は愚かだ。
シャイン
「…ハ…ハハハ…。ホントに僕はバカだ・・・」
シィラ
「何笑ってんのよ?早くしてよ?姉御を?姉御を止めて?早く?」
シャイン
「…。わかった。僕が、止めて見せる。絶対に…。」
僕はまた走る。走る。今度は、自分のためではなく…友のために…。僕を友人と言ってくれた彼女のために…。例え力尽きようとも…僕は諦めない。絶対にだ。仲間なんだから…大切な仲間の一人だから・・・僕は諦めたりしない。
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