暁 〜小説投稿サイト〜
エネミーワールド
2章 これが「異能者、無能者の会」
第十話「一人」
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
は何も変わっていない。」

シャイン
「何がいいたい?」

僕はその他人事のように語る彼のその口調に疑問を感じた。そして、少しの懐かしみも覚えた。以前にもこのような事があったのか?

ハヤト
「君はいつもね、悩みを抱えているとこの空き地に身を隠す習性があったんだよ。」

シャイン
「は?何言ってるんだ?」

ハヤト
「無理もない。君は記憶を長く放棄していたからね。」

僕はまた疑問に思う。記憶を放棄?そんなことができるのか?ただでさえこの苦悩に耐えることすら難しいこの状況下においてそれは僕が一番に疑問を抱いたことだ。

シャイン
「そんな事が…できるものか。」

ハヤト
「…。あいにく…君は10年間も記憶を放棄している。」

シャイン
「そんなことあるはずが_______」

瞬間、頭によぎる何か…過去へと忘却したはずの出来事が僕の脳に再生される。
その時、僕は目にした。自分に隠された、思い出すことすら許されなかった僕だけの負の思い出。

ハヤト
「どうした?何か思い出したか?」

シャイン
「うぅ…。な、なんなんだよコレは?こんなの、僕じゃない?僕じゃないんだよ?」

否定した。全否定した。記憶を受け入れたくなかった。まさに恐怖。恐怖していた。10年前…僕は悩みを抱えてはこの空き地に身を隠す習性があった。これは紛れもなく事実らしい。
脳裏に再生されるそのビジョンがそれを物語る。

シャイン
「お前は…誰なんだ?」

ハヤト
「私はハヤトだよ。」

僕の記憶にはハヤトという友人はいない。ありえない。つい去年出会ったばかりだ。そんな事はありえない。

シャイン
「だから誰なんだって言ってるんだ?っ!?________」

次々と投影されるそのビジョンはやがて拒絶していた脳のフィルターを通り越し、受け入れる。その瞬間…忘れていたはずの全てを思い出す。その記憶の中には身を覚えのない誰かの記憶まで混濁していた。

シャイン
「僕は…いや、俺は…うぐぐっ…僕は誰なんだ!?僕は一体…」

ハヤト
「思い出したのか…。10年前に起きたあの忘れたくても忘れられないあの悲劇を…」

シャイン
「ぁ、ぁあああああ?」



僕は…10年前…。あの悲劇を見てしまった。受け入れられなかった。僕は良く悩みを抱えこむ少年だった。どんな悩みも耐えられる自信は自分にもあった。
だけどあの日、僕は忘れない。僕には妹がいた。名前は "エリー"2つ下の妹がいた。僕は彼女と幼い時から良く遊んだ。二人はいつも一緒だった。
だけどそんな幸福な日はそんなに長く続かなかった。とある休日にそれは起きる。
僕ら家族と友人のハヤトはその日、遊園地を巡る事にしていたんだ。もちろん楽し
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ