暁 〜小説投稿サイト〜
〜白と碧の翡翠〜
第3話
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ージに入れた。

その後、横向きで倒れてる俺の傍まで来て、しゃがんだ。

「あの・・・?」

そう聞いてみれば、

「置き去りにしていっても良いけど、そろそろモンスター出るよ・・・

 ・・・ほら。」

そう言って、彼女が薙刀で指す方を見ると、確かにモンスターがポップして、
此方を発見、戦闘態勢になった。

そして、此方に敵が向かって来る前に・・・
薙刀による高速の5連打を喰らって消滅した。

・・・剣先、見えなかったぞ・・・ソードスキルも無しに・・・。

「こういう事になるから、いてあげたのに。」

そう言って、少し拗ねたような顔をして笑いながらこちらを見たのは、
現実世界と同じ、同い年の少女。

・・・何も変わってない。

俺と彼女は、偶然誕生日が同じなだけの関係。
笑いながら“お兄ちゃん”と話しかけて来るその笑顔と声に、
何度顔を背けただろう。

家族とは何なのかの距離感が分からなくなって、距離を置こうとした俺に、
必至で話しかけて来た。

その度に、そっけなく返し、顔を背け、
何度、落ち込んで俯くその姿を見た事か。

この間、この世界で話しかけた時、そっけなく返され、踵を返された時、
俺はどんな事をして、どれだけ彼女が傷ついたかを知った。


俺は彼女が1層の時に言った言葉を、何一つ信じてはいなかった。
だけど、彼女の言動は、あまりに現実と違いすぎていて。

何が変わったのかと思った。
だけど、何一つ変わって無かった。

何の事無い、全てを押し込めて、仮面をかぶっていただけだった。

何も変わらない、優しいだけの少女が、全てを背負う為に自分自身を押し込めて、
耐えうるだけの虚像を作り出し、それを演じているにすぎなかった。

◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆―――――――◆

━━━━━━━━━━side:Snow Leaf━━━━━━━━━━━

結局、全ては無事に終わった。
今、お兄ちゃんの麻痺が解けたから。

「助けれたのはただの偶然。ソロなら気を付けなね。
 ・・・後、もう話しかけないで。」

「・・・セツ・・・。」

私の忠告に対して・・・

とても久しぶりに、名前を呼ばれた。
鬼姫としか、呼ばれてなかったから。

「ココでは“スノー・リーフ”だよ。
 ・・・まぁ、愛称で(セツ)なら有りだろうけど。

 ・・・じゃあね。

 ・・・ごめんね。」

それだけ伝えて、逃げるようにその場を去る。
・・・すごく怖かったその場所から、逃げる様に。

この世界で、唯一探し求めた、“家族”であり“お兄ちゃん”
・・・何に変えても。失いたくない人だから。

◆―――――――◆
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