第3話
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ージに入れた。
その後、横向きで倒れてる俺の傍まで来て、しゃがんだ。
「あの・・・?」
そう聞いてみれば、
「置き去りにしていっても良いけど、そろそろモンスター出るよ・・・
・・・ほら。」
そう言って、彼女が薙刀で指す方を見ると、確かにモンスターがポップして、
此方を発見、戦闘態勢になった。
そして、此方に敵が向かって来る前に・・・
薙刀による高速の5連打を喰らって消滅した。
・・・剣先、見えなかったぞ・・・ソードスキルも無しに・・・。
「こういう事になるから、いてあげたのに。」
そう言って、少し拗ねたような顔をして笑いながらこちらを見たのは、
現実世界と同じ、同い年の少女。
・・・何も変わってない。
俺と彼女は、偶然誕生日が同じなだけの関係。
笑いながら“お兄ちゃん”と話しかけて来るその笑顔と声に、
何度顔を背けただろう。
家族とは何なのかの距離感が分からなくなって、距離を置こうとした俺に、
必至で話しかけて来た。
その度に、そっけなく返し、顔を背け、
何度、落ち込んで俯くその姿を見た事か。
この間、この世界で話しかけた時、そっけなく返され、踵を返された時、
俺はどんな事をして、どれだけ彼女が傷ついたかを知った。
俺は彼女が1層の時に言った言葉を、何一つ信じてはいなかった。
だけど、彼女の言動は、あまりに現実と違いすぎていて。
何が変わったのかと思った。
だけど、何一つ変わって無かった。
何の事無い、全てを押し込めて、仮面をかぶっていただけだった。
何も変わらない、優しいだけの少女が、全てを背負う為に自分自身を押し込めて、
耐えうるだけの虚像を作り出し、それを演じているにすぎなかった。
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━━━━━━━━━━side:Snow Leaf━━━━━━━━━━━
結局、全ては無事に終わった。
今、お兄ちゃんの麻痺が解けたから。
「助けれたのはただの偶然。ソロなら気を付けなね。
・・・後、もう話しかけないで。」
「・・・セツ・・・。」
私の忠告に対して・・・
とても久しぶりに、名前を呼ばれた。
鬼姫としか、呼ばれてなかったから。
「ココでは“スノー・リーフ”だよ。
・・・まぁ、愛称で雪なら有りだろうけど。
・・・じゃあね。
・・・ごめんね。」
それだけ伝えて、逃げるようにその場を去る。
・・・すごく怖かったその場所から、逃げる様に。
この世界で、唯一探し求めた、“家族”であり“お兄ちゃん”
・・・何に変えても。失いたくない人だから。
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