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ハイスクールD×D 〜聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝〜
第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
第53話 足りないもの
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に突き刺さり、結界の外まで転がり出てきた。

「イリナさん!」

 そこでちょうど木場の治療が終わったアーシアが今度はゼノヴィアと同時にイリナの治療を始めた。そして木場は火織に向けて駆け出そうとしてるんだけど

「ぐっ、足が……」

「祐斗さん! まだ体力まで回復できていません! もう少し休んで下さい!」

「でも、僕には時間が……」

 と、苦しそうにしつつ足を引きずってでも火織の元へ向かおうとする木場の横を一つの影が通り過ぎた! そして

「せぇいっ!!」

「巴柄?」

 いつの間にかその手に掴んだ一振りの刀で火織に斬りかかっている巡がいた!

「火織ちゃんの一番弟子として私も黙って見ているなんて出来ないわ!」

「ふふ、いいよ。そういえば真剣でやるのは初めてね」

「うん! 今日こそ1本取ってみせるんだから!」

 そう言って激しく剣を斬り結び始める両者! っていうか!

「おい巡! 誰が火織の一番弟子だ! 一番弟子は俺だろうが!」

「って突っ込む所そこかよ!? もっと注目すべきところがあるだろ!」

 と匙が俺に言ってくる。くそ、分かってるよそんなこと。2人の戦いは今までで一番動きが激しかった。火織に一太刀もあびせられないのは今までと一緒なんだけど、今まで殆どその場から動かなかった火織が激しく動き回り、更に今まで最初は守り主体だったのに今回は最初っから巡に対して攻めまくってる。それに巡の方もそれにしっかりついていっている。つまり今までの稽古のような戦いではなく、しっかりとした対戦になっていた。

 それに対して今までの戦いを見てきた俺達、特に対戦者だった木場やイリナ、ゼノヴィアなんかは呆然としてその戦いを見ていた。

「彼女は一体何者だ?」

 呆然とそう口走るゼノヴィア。それに答えたのは副会長だった。

「彼女は我らシトリー眷属の騎士(ナイト)、巡巴柄です」

「ねぇ、あの娘さっき火織ちゃんの一番弟子って……」

「一番弟子かどうかはともかく、彼女は駒王学園に入学してからの一年半の間、剣道部にて神裂さんの指導を受け続けてきました。また神裂さんが課した自己鍛錬も毎日かかさずこなしており、今では純粋な戦闘力ではシトリー眷属一の使い手です」

 その言葉にイリナたちは驚いていた。っていうか俺も驚いてるよ! 俺、あいつの部活中の姿しか知らないし、何度も試合をしたからどのくらいの強さかってのはなんとなく知ってるつもりでいたし、俺ももう少しで追いつけるんじゃないかと思えるくらいの強さだと思ってた。でもあいつ実はあんなに強かったのか!? っていうか眷属一って上級悪魔の会長より強いのかよ!

 そしてそんな中……

「くそ……くそっ!!」

 いつもの口調
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