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ハイスクールD×D 〜聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝〜
第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
第53話 足りないもの
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と全然動きが違うじゃねぇか!? 一言アドバイス貰っただけであんなに強くなるもんなのか!?」

「それは違います、お兄ちゃん」

「白音ちゃん?」

 膝上から発せられた白音ちゃんの言葉に俺は疑問を覚え、戦いに目を向けつつも聞き返した。雰囲気からして他の皆も白音ちゃんの言葉に耳を傾けてるな。

「あれが祐斗先輩の本来の強さです」

「本来の?」

「はい。祐斗先輩も万全であればあの位の動きは出来たはずです。でもさっきまではエクスカリバーを目の前にして副会長の言う通り視野が狭くなっていましたし、焦りもあったんだと思います。だから本来の半分も実力を発揮できていなかったんでしょうけど……先ほどの会話で少しだけですけど肩の荷が下りたんでしょうね。動きが格段に良くなりました。あれが祐斗先輩の本来とるべき戦い方なんです。速度で翻弄して多彩な魔剣で次々とその手数で攻める戦法。火織姉様と同じ戦法です」

「そうか、これがあいつの……でも待てよ白音ちゃん。速度は分かるとして、多彩な魔剣による手数の多さってのは火織の戦い方とは違くねぇか? 火織今まで複数の魔剣を次から次に使うなんてことしたことねぇぞ?」

「……それは今までその必要がないくらい戦った相手との力量に差があったからです。龍巳姉様と稽古をする時は次々に壊されるんで火織姉様もあのように次々と魔剣を創っては戦ってますよ?」

「そ、そうだったのか……」

 おいおいマジかよ? それってつまり今まで俺達の前では本気を出したことがなかったってことか? あのライザーの前でも? 火織ってそこまで強かったのか。もうここまで来るとあいつの本気がどのくらいなのかまったく見当がつかねぇ。

「どうやら調子が出てきたみたいね、祐斗!」

「まだまだこれからさ!」

 今ではもう火織も積極的に木場を攻め、木場のそれを凌ぎつつ反撃に転じている。つまり今までとはまったく違い、しっかりとした対戦になっていた。木場が攻めれば火織が魔剣を砕き、火織が攻めればうまくこれを木場が避ける。押されてはいるけど、それでも木場は火織と戦えていた。

「炎よ!!」

 さらに木場は魔剣の能力まで使い始めた! 炎が、氷が、雷が、風が吹き荒れ、全方位から火織を襲う! しかしながら火織も

「はぁぁぁあああっ!!」

 ものすごいスピードで動きまわり全ての能力による攻撃を斬り裂いていく! と、そこで

「ここだ!!」

 炎を目眩ましに一気に間合いを詰めた木場の魔剣が火織に迫る! しかしながら火織もそれにしっかり反応し、その魔剣を弾いた。しかしそこで木場の攻めは止まらず、もう片方の手に握った……あれは透明な魔剣!? 剣の柄まではあるけど刀身は見えねぇ! でも火織はそれにも難なく反応し、|天閃の聖剣
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