暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝〜
第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
第53話 足りないもの
[1/19]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


「はぁぁああっ!!」

「どんな時でも頭は冷静にと言ったはずよ!」

 その言葉とともに木場は火織の振る剣に弾き飛ばされた。火織がイリナ達との勝負に勝ってもう1週間、毎日早朝と放課後に木場は火織に挑み続けていた。こうして見ていると木場の剣は日に日に鋭くなってきているような気がする。けれど未だに火織には1太刀も入れることが出来ずにいた。

「がはぁっ!?」

 するとこれで何度目になるか、木場の腹に火織の持つ天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)の柄が深々と突き刺さり、そのまま龍巳の張っていた結界の外まで転がり出てきた。

「祐斗さん!!」

 そこに慌てて駆け寄るアーシア。アーシアはしゃがみこむと木場のダメージを受けた腹に今日既に数度目となる癒やしのオーラを当てた。

「祐斗さん! 今治しますからね!」

「………………ぐぅっ」

 苦しそうにうずくまる祐斗とそれを治療するアーシア。そんな2人の様子を確かめた火織は右手に持つ天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)を頭の上まで振り上げ

ギャリンッ!!

「不意打ちなら当てられるとでも思った?」

「くっ!!」

 背後から振り下ろされたゼノヴィアの破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)をもはや見もせずに受け流した。そこからゼノヴィアは猛烈なラッシュを火織に見舞うんだけど、火織はそれを身を反らすだけでひょいひょいと避ける。そしてそんな様子をこれまたアーシアに治療を終えてもらったばかりのイリナが龍巳の張る結界の外で、まるで火織の動きを覚えようとしているかのように見ていた。

 一週間前のあの夜、火織に負けた2人はまるで心がすっぽり抜け落ちたような状態となり、アーシアに治療された後もその場から動こうともせずうつろな目でただ一点を見続けていた。その日の木場の火織への挑戦が終わって帰る段になってもそのままだったので、見かねた部長が所有しているマンションの一室を提供し、火織と龍巳がその部屋まで肩を貸して運んだんだ。

 その後も2人は部屋から出てくる様子はなく、火織が世話をするために放課後木場との稽古が終わると毎日通って面倒を見ていた。話を聞く所によると、2人はベッドからすらも起き上がらず、1日中うつろな目でブツブツと何かを考えながらつぶやいていたらしい。一応火織の作った食事だけは食べてたらしいんだけどさ。

 そんなことが続いて4日後くらいかな? 放課後急に2人が聖剣を持って現れたんだよ。いきなりどうしたのかと思ったら、自分たちも木場のように火織に挑ませてほしいとの事だった。一体何を考えてそんな結論になったかは分からないんだけど、火織はあっさりそのことに了承して、今では木場、ゼノヴィア、イリナという順番で何回も何回も火織に挑戦
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ