ナツVS波動のユウカ
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さっと羽を広げるハッピーと風を纏って飛ぶルーを見送り、すぐさまユウカとトビーに目を向ける。
「こっちは俺が・・・」
その表情は険しい。
「かたづけとく!」
その言葉と同時に勢いよく跳び、トビーに頭突きを決めた。
そしてクルリッと回転し、ぷっくうと頬を膨らませ、炎を吹く。
だっと地面に足をつき、ズザァッと綺麗に着地した。
煙の中から無傷のユウカが姿を現す。
「なんて凶暴な炎だ。まさか噂に聞く妖精の尻尾の火竜とは貴様の事か!?」
ナツはユウカを睨みつける。
「おおーん」
ナツの頭突きを喰らったトビーも何事も無かったかのように起きあがった。
「だが俺達もかつては名のあるギルドにいた魔導士。そう簡単にはいかんよ。魔導士ギルド『蛇姫の鱗』と言えば解るかな?」
「おおう」
「そうさ・・・あの岩鉄のジュラがいた・・・」
蛇姫の鱗。
妖精の尻尾のあるマグノリアの街から南西に存在するギルドだ。
ギルドマスターはオーバ・ババサーマ。
「おぐわっ!」
「なっ・・・!」
長々と語り出したユウカとトビーに炎を喰らわせるナツ。
「き、貴様・・・人の話を最後まで聞かんか!」
「知らん」
まぁ人の話は遮らず全部聞くのが常識なのだが、ナツにとってそれはどうでもいい事だ。
「どこのギルドだとか誰の仲間だとか関係ねぇんだよ。お前等は依頼人を狙う。つまり仕事の邪魔。つまり妖精の尻尾の敵。戦う理由はそれで十分だ」
怒りの表情でそう言うナツに対し、こちらも怒りを露わにするユウカ。
「トビー、手を出すな。こいつは俺1人で片づける」
「おおーん」
そう言うが早いが、ユウカはバッと右手をナツに向ける。
「波動!」
その右手から放たれた水色の光は真っ直ぐナツに向かう。
「む。こんなもの、ぶっ壊して・・・!」
右の拳に炎を纏って壊そうとするナツだが何かを察知し、しゅっと横に避ける。
波動は先ほどまでナツのいた場所をドゴォォォン・・・と走っていく。
「ほう。よく『性質』に気づいたな」
笑みを浮かべてそう言うユウカ。
ナツは地面を転がり、炎を吹いた。
「波動!」
水色の光が放たれ、ナツの炎を消し去る。
「我が手により作り出す振動は全ての魔法を中和する。つまり、魔法を通さぬ魔法」
「さっき火じゃ防げねぇって思った感覚はソレか・・・」
「蛇姫の鱗にいた頃は対魔導士の仕事専門だった。その意味解るよな」
ユウカの両手に水色の光が灯る。
「全ての魔導士は俺の前では無力だからさ!」
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