暁 〜小説投稿サイト〜
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もんはないからな」
「いや、それも分かるっすけど……一人で乗り込んで全員叩き潰すって正気じゃないでしょ。拳銃とかだって所持してたらしいし」
「一人で来るはずがない、そこが思考の隙だよ。ついでに言うと、人間は本能的に血を忌避する」

 先制かまして派手に血を流させれば思考が乱れる。
 そうなったら後はカモだ。
 徹底的に容赦なく、持てる総てを動員して暴力を振るえばいい。

「……ぶっ倒せたとしても、バックがあるじゃないっすか」
「背後関係か? それこそ問題ない。奴らの手は雑すぎる。使い道のない馬鹿なんだよ馬鹿」

 ジャンキーにするのならば手順が居る。
 優しく丁寧に、ゆっくりとクスリを染みこませていくのが常道。
 そうやって綿密に道を引いてからお客さんになってもらうのだ。
 ゆえに甘っちょろい、すぐ廃人になってしまうようなクスリは使わない。

「出回ってたのは依存性が強い安物だ。そんなん売り捌くなんぞ小遣い稼ぎ以上のメリットはねえよ」

 そんな用途にしか使えない馬鹿の集まり、それが分かれば正面から叩き潰せる。

「あんな連中はいずれ足がつく。切り捨てるつもりでも、多少は面倒なことになる」
「……背後の連中にメリットがある行動だったと?」
「ああ。実際、あの後に事務所に呼び出されたがすんなりことが運んだよ」

 もっとも、面子と言うものがあるので、向こうも素直に俺の行動を容認しなかったが。

「頭が回って倫理観が多少おかしい奴を紹介してやった。勿論双方に同意はとってな」

 普通の社会に馴染めないはぐれ者と言うのは何時の時代にも居る。
 そんなののまとめ役もどきが俺だ。
 向こうとしてもそれなりに嬉しかったようで、子供の財布には大きすぎる額を貰った。

「じゃあ、全部下調べした上での行動だったと?」
「いや別に。クスリが雑だってことくらいしか調べてねえよ。後は推測」

 どんなクスリかを調べさせる以上はしていない。
 それ以上は必要ないと判断したのだ。

「じゃ、じゃあヤバかったかもしれないんじゃ……」
「そん時はそん時だ。本職と遊んでもらうのも楽しそうだろ」

 生死の綱渡りが好きな連中なんてそれなりに居る。
 それを使って動けば……勝てるかどうかはともかく、楽しいことになるだろう。
 実際、俺もそれを織り込み済みで遊んでたし。
 あの頃の俺はとりあえず既知ではないものを必死こいて求めていたからな。

「で、聞きたいことってこれか?」
「あー……そっすね。何でそんなにぶっ飛んでんのかなって聞こうと思ったんすけど、理解出来そうにねえや」
「そうかい」
「でも、裏瀬さんが頭でよかったって思うっすよ。あ、そういやヤクザから勧誘が来たってマジすか?」
「ああ。プロ野
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