第十章 イーヴァルディの勇者
第一話 少女の名前
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「ちょ、ちょっとあれってどど、どういうことよ」
「……見てわかるでしょ。あんたたちの考えている通りよ」
「考えている通りって……ちょっと信じられないというか……いや、シロウならありえないこともないか、な?」
顔を突きつけ合いながら、キュルケたちが言い合っている間も、士郎とアンリエッタの会話は続いている。顔を伏せた姿で士郎と会話していたアンリエッタの視線が、不意に下から横に、ルイズたちに向かう。ルイズたちに気付いたアンリエッタが、士郎に向かって何やら一言三言口にすると歩き出した。ルイズたちに向かって。
まだ微かに赤みが残る顔に笑みを浮かべながら歩くアンリエッタは、ルイズたちの前で立ち止まる。
「ルイズ。わたくし、もうそろそろお城に戻らなければいけないのだけど、その前にあの件でもう少しあなたと話がしたいの。それで昼食でも一緒にと……よろしいかしら?」
「えっと、はい。大丈夫ですが、その……もしかしてシロウも」
ルイズの視線がアンリエッタの後ろに立つ士郎に向けられる。
ルイズの視線に導かれるように、アンリエッタの視線がその後ろ、士郎に向かう。
アンリエッタとルイズだけではなく、甲板にいる全員の視線を受けた士郎は、気付かれないよう小さな溜め息をつくと、首を縦に振った。
「はい、シロウさんもご一緒に……それと、よろしければ」
アンリエッタの視線がルイズの後ろに移動する。
「ミス・ツェルプストーもいらしてくださいませんか?」
「え? わ、わたしですか?」
「はい」
予想外の誘いに驚きで目を見開くキュルケに、アンリエッタはニッコリと笑いかける。
「それは―――もちろん喜んで受けさせていただきます」
突然の誘いに動揺したキュルケであったが、直ぐに微かに浮かんだ動揺を消し去ると優雅に笑い美しい所作で頭を下げてみせた。
「私事ですので食事の方は食堂ではなく、折角ですしルイズの部屋で致しましょう」
目を細めてルイズを見るアンリエッタ。自分を見つめる瞳の中に含まれたものに気付いたルイズは、瞬きの如く一瞬だけ目を閉じ思考を巡らすと、背後に立つシエスタに笑いかけた。
「わかりました。それでは……シエスタ頼んでいい?」
「はい。直ぐに準備いたします」
アンリエッタの提案に、ルイズが背後に控えるシエスタに顔を向ける。ルイズの言葉にシエスタは、アンリエッタたちに向かって直ぐに一つ礼をすると、ジェシカを伴って昼食の準備をするためその場を離れた。駆け出してもいないにもかかわらず、二人の背中は直ぐに見えなくなってしまう。あっと言う間にシエスタたちの背中が見えなくなると、ルイズはアンリエッタに振り返った。
「給仕は先程のメイド―――シエスタにさせます」
「もしかして
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