第二章 風のアルビオン
第二話 婚約者と決闘
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ルドは、視線を窓の向こう―――星空を見つめ始めた。
「覚えているかい? あの日の約束……。ほら、きみのお屋敷の中庭で……」
「約束……」
「あの、池に浮かんだ小舟でした約束……」
「あっ―――え、ええっ。もちろんよ、覚えているわっ」
ルイズは顔を上下にブンブンと振ったが、その頬には冷や汗が伝わっていたが、幸いなことにワルドはそれに気付いていない。
「きみはいつもご両親に怒られたあと、あそこでいじけていたな。まるで捨てられた子猫みたいに蹲って……」
「ほんとに、もう、変なことばっかり覚えているのね」
「そりゃ覚えているさ」
ワルドは楽しそうに笑っている。
「キミはいつもお姉さんと魔法の才能を比べられて、出来が悪いなんて言われていた……でも僕は、それはずっと間違いだと思ってた。確かに、キミは不器用で失敗ばかりしていたけれど……」
「意地悪ね」
ルイズは頬を膨らませた。
「ハハッ、違うんだよルイズ。キミは失敗ばかりしていたけれど、誰にもないオーラを放っていた。魅力といってもいい。それはきみが、他人にはない特別な力を持っているからさ。僕だって並のメイジじゃない。だからそれがわかる……」
「まさか」
「まさかじゃない。例えば、そうキミの使い魔……」
ルイズの頬が赤く染まる。
「シロウのこと?」
「そうだ。彼が武器を掴んだときに、左手に浮かびあがったルーン……。あれは、ただのルーンじゃない。伝説の使い魔の印さ」
「伝説の使い魔の印?」
「そうさ。あれは“ガンダールヴ”の印だ。始祖ブリミルが用いたと言う、伝説の使い魔さ……」
ワルドの目が光る。
「ガンダールヴ?」
ルイズが怪訝そうにワルドに尋ねた。
「誰もが持てる使い魔じゃない。キミはそれだけの力を持ったメイジなんだよ」
「伝説の使い魔……」
ルイズは天井を仰ぎみると、自身の使い魔のことを思う。
確かにシロウはすごく強いけど……伝説の使い魔? シロウが強いのは異世界の魔法使いだからなの? それとも伝説の使い魔だからなの……でも、もしもシロウが伝説の使い魔だったとしても……落ちこぼれのわたしなんかに、ワルドが言うような力が自分にあるなんて……。
「キミは偉大なメイジになるだろう。そう、始祖ブリミルのように、歴史に名を残すような素晴らしいメイジになるに違いない。僕はそう予感している」
ワルドは熱っぽい口調で、ルイズを見つめた。
「この任務が終わったら、僕と結婚しようルイズ」
「えっ……」
いきなりのプローズに、ルイズははっとした顔になる。
「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。いずれは国を……このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思って
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