第二章 風のアルビオン
第二話 婚約者と決闘
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ると、オスマン氏は手を振りコルベールに退室を促す。
「わかったから君はもう行きなさい」
コルベールがいなくなると、アンリエッタは呆然とした顔でオスマン氏に聞いた。
「オールド・オスマン。ミス・ロングビルとは?」
「あ〜……その、まあわしの秘書じゃよ……」
オスマン氏はアンリエッタの質問に、口をもごもごとさせながら答えた。
それ見たアンリエッタは、不思議そうな顔をして言った。
「秘書……ですか? そんな方が挨拶もせずに、どこに行ったのでしょうか?」
「ま〜どうせあの男の尻でも追いかけていったんじゃろうが……」
オスマン氏が小声でボソリと呟いたが、それに気づかなかったのか、アンリエッタは窓の外を憂鬱そうな顔で見ていた。
「そんなに心配せずとも、彼らは無事に帰ってきますぞ」
オスマン氏の余裕のある態度を見て、アンリエッタは訝しげな顔をする。
「そう言えば先ほどは聞きそびれましたが、なぜ、そのような余裕の態度を……」
「すでに杖は振られたのですぞ。我々に出来ることは待つことだけ。違いますかな?」
「そうですが……」
「それに彼ならば、道中どんな困難があろうとも、やってくれますでな」
「彼とは? あのグラモン元帥の息子のギーシュですか? それとも、ワルド子爵が?」
オスマン氏は首を振る。
「では、まさかあのルイズの使い魔の方ですか? 確かに只物ではなさそうでしたが、しかし彼は平民ではないですか?」
「平民……ですかの……」
「平民ではないのですか?」
オスマン氏のハッキリしない言い方に、アンリエッタは訝しげな顔をすると聞き返した。
「さて、メイジを手玉に取るような者が平民と言えるのかどうか……どうなんでしょうかのう。わしが今、彼について分かっていることは、彼の実力が『分からない』ということだけですかな」
「『分からない』とは、どういうことですか?」
アンリエッタはオスマン氏の言葉に、ますます意味がわからないとでも首を傾げた。
「そのままの意味ですぞ。“ドット”とは言えメイジを手玉に取り、あの“土くれのフーケ”から我が学院の宝を取り返す……しかし、彼の実力は今だ『分からない』。わかりますかな姫さま?」
オスマン氏の話を聞き、アンリエッタはハッと顔を上げた。
「つまり彼は、それだけのことをしておきながら、今だ実力を隠していると」
「その通りです姫さま……」
そこまで言うとオスマン氏は、窓の外を眺めながら言った。
「この旅で彼の実力がハッキリとわかるでしょう……エミヤシロウと言う男の……」
「エミヤシロウ……」
アンリエッタも窓の外を眺めながらポツリと呟いた。彼が自分をいたわるように見つめた眼差しを
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