第二章 風のアルビオン
第二話 婚約者と決闘
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って近づいてきたワルドに抱え上げられ、グリフォンに乗せられた。
「あっ」
「では諸君! 出撃だ!」
グリフォンにルイズを乗せたワルドは、手綱を握り杖を掲げて叫んだ。
ワルドの声に応じてグリフォンが駆け出した。士郎たちも馬に乗ってあとに続く。
士郎はその鷹のような眼光で、グリフォンに乗っているワルドを見つめ続ける。
―――ルイズの婚約者、か………あの目………気のせいならいいんだが…………
アンリエッタは出発する一行を、学院長室の窓から見つめていた。
目を閉じ、手を組んで祈る。
「彼女たちに加護をお与えください。始祖ブリミルよ……」
隣ではオスマン氏が鼻毛を抜いている。
アンリエッタは振り向くと、オスマン氏に向き直った。
「見送らないのですか? オールド・オスマン」
「ほほ、心配せずとも無事に帰ってきますとも」
「オールド・オスマン、そうは言いますが……」
アンリエッタがオスマン氏に声をかけようとした際、それを遮るように扉がどんどんと叩かれた。「入りなさい」とオスマン氏が呟くと、慌てた様子のコルベールが飛び込んできた。
「いいいい、一大事ですぞ! オールド・オスマン!」
「きみはいつでも一大事ではないか。どうもきみはあわてんぼでいかんな、あ〜ミスタ・ケル『コルベールですっ!』……コルベールくん……ちっ……で。何が一大事なのかね?」
からかわれないよう、先を制したコルベールに舌打ちをしたオスマン氏が、コルベールに話を続けるよう促す。すると、コルベールは持っていた紙をオスマン氏に突き出しながら言った。
「みっ、ミス・ロングビルが家出をしましたっ!」
「……は?」
「さっ、先ほどミス・ロングビルがまだ出勤していなかったので、体調でも崩したのかと部屋まで行ったのですが、ドアの下にこっ、これが挟まっておりました」
オスマン氏は突き出された紙を、口に出して読んでみた。
「何々、フムフム―――『突然ですが用事が出来ました。すみませんが溜まっていた有給をとります。これを見た方はオールド・オスマンに伝えてください。PS探さないで下さい』……で、何で家出?」
オスマン氏が訝しげな顔をして顔を上げると、コルベールは紙を指差して言った。
「ここ! ここに『探さないで下さい』と書いているじゃないですか!」
「ミスタ……それで何で家出……ミス・ロングビルはもう大人じゃ、放っておいて大丈夫じゃて」
「しかし!」
「あ〜もうっ! わしが放っておけと言うておるんじゃ、いいから放っておきなさい!」
テンパりあわあわと慌てる姿にオスマン氏が怒鳴りつけると、コルベールはやっとおとなしくなる。
おとなしくなるのを確認す
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