第二章 風のアルビオン
第二話 婚約者と決闘
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「すまない。婚約者がモグラに襲われているのを見て見ぬ振りは出来なくてね」
「「「婚約者っ!?」」」
「ちっ、違ッ……わぷっ!」
その言葉にルイズとワルド、そして馬の上で本を読んでいるタバサ以外の視線が一斉にルイズに集中する。向けられる好奇の視線にルイズは顔を真っ赤にさせて立ち上がると、士郎に向かって何かを言おうとする。しかし、その前にルイズに駆け寄って来たワルドに抱え上げられ、言葉を遮られてしまった。
「久しぶりだな! ルイズ! 僕のルイズ!」
「はっ、ハハ……お久しぶりでございますワルド様」
戸惑いながら挨拶をすると、ワルドは笑いながらルイズを更に強く抱きしめる。
「ハハッ、相変わらず軽いなきみは! まるで羽のようだね!」
「あ、ありがとうごさいます」
「彼らを紹介してくれないかい?」
ワルドはルイズを地面に下ろすと、再び帽子を目深にかぶって言った。
「あ、あの……こちらが同級生のギーシュ、キュルケ、タバサです」
ルイズは唖然とした顔でルイズを見ているギーシュ立ちを順番に指を差しながら紹介し、最後に士郎を指差して、少し自慢気に言う。
「そしてこちらが、私の使い魔のシロウです」
紹介された士郎が、未だに緩めない眼光を光らせたまま、軽く頭を下げた。
「きみがルイズの使い魔かい? メイジではないなとは思ってはいたが……まさか使い魔とは、ね」
ワルドは気さくな感じで士郎に近寄った来た。
「僕の婚約者がお世話になっているよ」
「いえ……」
士郎は挨拶をしながら鋭い眼差しを緩めずに、ワルドを頭の先からつま先までさりげなく確認する。
……軍人か。
かなり鍛えている、魔法の腕も一流……。だが気になるのはこいつの目……何か引っかかる。
ワルドの体付きや歩き方、気配から相当に腕が立つことを見抜いた士郎だったが、人の良い笑顔に貼り付いた目に、何か嫌な予感を感じた。
士郎が黙って見つめていると、ワルドは更に浮かべていた笑みを深めると、ぽんぽんと士郎の肩を叩いた。
「どうした? もしかしてアルビオンに行くのが怖いのかい? なあに! 何も怖いことなんかあるもんか。君はあの“土くれ”のフーケから学院の宝を取り返したんだろう? その勇気があればなんだって出来るさ!」
そう言って、あっはっはっは、と豪傑笑いをする。
笑いを収めたワルドが士郎から離れると、空へと向かって口笛を吹く。すると、朝靄の中からグリフォンが現れた。鷲の頭と上半身に、獅子の下半身がついた幻獣である。
ワルドはひらりとグリフォンに跨ると、ルイズに手招きをした。
「おいで、ルイズ」
ルイズは士郎に振り返って何かを言おうとしたが、グリフォンに跨
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