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剣の丘に花は咲く 
第二章 風のアルビオン
第二話 婚約者と決闘
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士郎を睨みつけると頷いた。

「あ、ああ。私の負けだ……」

 



 

 決闘場は静寂に包まれていた。
 士郎が強いとは知っていたが、相手は魔法衛士隊の隊長である。善戦はするだろうが、さすがに勝てないだろうと考えていたルイズたちは、決闘の結果を驚愕の面持ちで受け止めた。
 
「……強い」

 ルイズがポツリと呟くと、キュルケも頷く。

「強いと知ってはいたんだけど……これほどとはね……」
「すごい……」

 そんなルイズたちの下に士郎が歩いて来る。

「どうした、そんな顔して、何かついてるか」

 士郎が顔に手を当てながらルイズに聞くと、ルイズは大きなため息をついた。

「ハァ〜。そんなことじゃないわよ…ただ皆、士郎の強さに驚いているだけ」
「強いって……まあ、確かにワルドは魔法も杖の使い方もうまかったが、それだけだろ」 
「それだけって……」

 難なく言う士郎を皆が呆れた目で見つめると、士郎は肩を竦める。

「俺は今までに、もっととんでもない相手と戦ってきたからな……あれぐらいならそこまで手こずらないよ」
「もっととんでもないって?」

 ルイズが驚愕の眼差しで士郎に聞くと、士郎は苦笑いしながら空を仰ぐ。

「まっいろいろいたな……剣の一振りが大砲の一撃のような奴とか、一撃でも喰らえば殺されてしまうような奴とかいろいろいたな……」
「……一体どんな人たちよ……」

 ルイズが呆れながら言うと、士郎はルイズの頭をポンポンと叩くと笑って言った。

「まっ、いろいろあったんだよ、それより早く朝食を食べに行こうか」
 
 士郎がドアに向かって歩いていくと、慌ててキュルケたちも追いかけていった。

「さすがシロウね! ますます惚れたわっ!」
「さ、さすがぼくに勝っただけはあるね」
「……まだ実力を出しきってない?」






 決闘場に一人残されたワルドは、士郎たちが出て行ったドアを睨みつけていた。

「エミヤシロウ……この借りは、必ず代えさせてもらうぞ……」


 ワルドの呟きを聞いたものは誰もいなかった。

 

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