暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、お祭りを楽しむ
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にあったクレープ屋で二人分のクレープを買い、食べ歩きながら様々な展示物を見て回る。
 リリちゃんはクレープを受け取ることすら遠慮していたけど、何とか説得して受け取ってもらった。子供なんだから、遠慮しなくていいのに。

「にしても・・・いろんなものがあるんだね。歩くステンドグラスなんて始めてみた」
「他にも、ふわふわ浮かんでいるランタンもいますよ!可愛いです!」

 リリちゃんのテンションが高くなってきた。お祭りって人のテンションを上げる効果があるよね。

「どれも“ウィル・オ・ウィスプ”の看板を下げてるってことは、そのコミュニティの作品、ってことだよね?命すら与えれるのかな?」
「強力なギウトを持つ悪魔の中には、“生命付与”が出来る方々もいますし、きっとそうだと思いますよ?あ、あれは何でしょう!!」

 リリちゃんは何かを見つけたようでそれがあるであろう方向に走っていく。
 元気だな〜とか微笑ましく見ていたら、結構距離が離れていたので慌てて追いかける。
 リリちゃんがついたところには、翠色のガラスでできた龍のモニュメントがあり、リリちゃんが目を輝かせていた。

「奏さん!綺麗なガラスの龍です!北側ではこんなものも作れるんですね!」
「確かに綺麗だよなぁ・・・こんな感じのジン君の像を作って、コミュニティに飾ったら怒るかな?」
「多分、お礼を言いながら困った顔をすると思いますよ」

 コミュニティのリーダーの像を建てるのは面白いかなと思ったんだけど・・・やっぱり駄目か。
 それに、作るって話を聞いたらあの問題児三人組がどう手を出してくるか分かったもんじゃない。

「これはどこのコミュニティの展示なんだろう・・・あ、説明あった」

 ふむ・・・“サラマンドラ”のサラって人が作ったらしい。誰なんだろ?またサンドラちゃんにあったら聞いてみよう。

「さて、リリちゃんは興味があるみたいだししばらくここにいるのもいいかな・・・ん?」

 そう思った矢先、なにやら騒ぎになっているところがあるようだ。
 耳を済ませてみると、月の兎がどうたら、箱庭の貴族がどうたら、という内容の会話が聞こえてくる。
 確か、黒ウサギさんの一族のことをさす呼び名じゃなかったっけ?

「リリちゃん、向こうのほうで騒ぎが起こってるし、ちょっと見に行かない?なんか、箱庭の貴族が来たって言ってるし、黒ウサギさんがいるのかも」
「黒ウサギのお姉ちゃんが北側に!?」

 リリちゃんは驚きつつも、黒ウサギさんがいるのかどうかには興味があるようで、騒ぎの起こっているほうに向かうことに異論はなかった。

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